新しいグランプリ、初めてのコース。ロシアGPの初日フリー走行が始まると同時に、多くのドライバーがオリンピックパーク内に造られたセミ市街地サーキット、ソチ・アウトドローモに続々とコースインしていった。ところがインスタレーションラップを終えたあと、2台だけがガレージ内にとどまったままコースに出てこない。ケータハムのマシンだった。

「マイレージ制限があるため、チームが走らせてくれないんです」と小林可夢偉は言う。

 日本GPに続いて、ソチでもフリー走行1回目は可夢偉に代わってロベルト・メリがステアリングを握った。チームは公式に発表していないが、そこに金が絡んでいることは明らかで、走行の代償に何らかの資金をもらっているにもかかわらず、チームはメリに対しても走行制限をかけていた。それだけ現在のケータハムは物理的に厳しい状態ということだ。スペアパーツがないだけでなく、いま走行しているマシンを構成しているコンポーネントの中には寿命に達しようとしているものがある。

 14時50分に可夢偉が記録したベストタイムである1分44秒952は、そんな状況の中で刻んだタイムである。

「たった7周走っただけで、オプション(ソフト)タイヤに履き替えてタイムを出したわりには、なかなかレベルが高い走りができた」と笑う可夢偉。

「だって、まだ走行ラインなんか完璧じゃないので、まだタイムアップ要素が残っている」からである。それでも土曜のフリー走行3回目で再び走行制限がかけられる予定の可夢偉は、完璧な状態で予選に臨むことは難しい状況だ。初日最下位、それはチームメイトにも負けたことを意味している。

「これまではマルシャが最大のライバルだったけど、鈴鹿でチームメイトだけ新しいフロントウイングを使うようになってからは、チームメイトが最大のライバル」と可夢偉は言う。

 思いっきり走らせることもできない“手負い”のマシンで可夢偉はどんな走りを見せるか。ロシアGPの予選は、いつもより1時間遅く、現地時間の午後3時に開始する。

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