F1第10戦イギリスGPの決勝は、レッドブルのマーク・ウエーバーが今季3勝目を飾った。2位ルイス・ハミルトン(マクラーレン)、3位ニコ・ロズベルグ(メルセデスGP)。ザウバーの小林可夢偉は見事なレースを見せて6位に入り2戦連続の入賞を果たした。HRTの山本左近は20位完走を果たしている。
週末を通して晴天が続いたシルバーストンは決勝日も快晴。レーススタート時刻の午後1時(現地時間)時点ではやや風が強く風速はおよそ7m/s弱の表示、スタンドに掲げられた応援用のフラッグも激しくなびいている。気温は22度、路面温度は36度というコンディション。スタート前のグリッドでは、予選15番手だったビタントニオ・リウッツィがグリッド降格のペナルティを受けて20番手からのスタートに。各車のタイヤは、フロントロウに並んだレッドブル勢以下多くのマシンが柔らかいコンパウンドのソフトタイヤを装着している。
注目のスタートではイン側最前列から鋭いダッシュを見せたウエーバーが、ポールスタートのベッテルの押しのけ1コーナーを制すと、ウエーバーに食い下がったベッテルが2コーナーで突如ハンドリングを乱してコースオフ。ベッテルは右リヤタイヤがバーストしてピットインを余儀なくされると、一気に最後尾へとポジションを落とし早くも優勝戦線から脱落する。
トップ2の混乱で上位はハミルトンが2番手に上がり、ロバート・クビカもスタートの争いで3番手にアップ。一方、3、4番手スタートのフェラーリはスタートでフェルナンド・アロンソの前に出たフェリペ・マッサがチームメイトとの接触で右リヤタイヤをバースト。こちらもベッテル同様大きくポジションを下げた。
序盤レースは先頭のウエーバーが2番手ハミルトンとのリードを徐々に広げていき、3番手以下はクビカのペースが上がらず隊列が連なる。4番手ロズベルグ、5番手アロンソ、以下ルーベンス・バリチェロ、ミハエル・シューマッハー、ジェンソン・バトンと続き、12番手スタートの小林可夢偉も10番手にポジションを上げている。
10周が過ぎるとレースが次第に動き始め、11周目にシューマッハーが上位勢最初のピットインを行う。すると12周目にアロンソ、バリチェロ、可夢偉が入り、素早いピット作業を決めた可夢偉がシューマッハーの前でコースに復帰。13周目にクビカがピットインし、こちらは再びアロンソの前に出た。
その後ロズベルグが15周目に入ると、翌周に2番手ハミルトン、さらに17周目にトップのウエーバーがピットインする。そんな中、序盤8番手を走っていたバトンはライバルよりもピットインを遅らせ、その間にクイックラップを重ねて21周目にピットに入った。
ピットイン後も先頭のウエーバーと2番手ハミルトンの差はほとんど埋まらず、その差は5秒前後となった。一方、3番手争いはピットインのタイミングでポジションが入れ替わり、ロズベルグに3番手を奪われたクビカと5番手を走るアロンソがバトルを見せる。アロンソは17周目にアウトからクビカを抜きにかかったが、クビカも譲らなかったためアロンソはシケインをショートカットするかたちでクビカをパスする。この行為はその後審議の対象となったが、20周目にクビカをトラブルが襲い、スローダウンを喫したクビカはそのままレースをリタイアしてしまう。
28周目、エイドリアン・スーティルとの接触でペドロ・デ・ラ・ロサのパーツがホームストレート上に散らばってしまったためにセーフティカーが入る。その直前、アロンソにはクビカとの一件でドライブスルーペナルティが下されており、セーフティカー先導下の30周目にペナルティを消化したアロンソは入賞圏外へとポジションを落としてしまう。
31周目のレース再スタート時の順位はウエーバー、ハミルトン、ロズベルグ、バトン、バリチェロ、可夢偉、シューマッハー、スーティル、ニコ・ヒュルケンベルグ、ビタリー・ペトロフというトップ10となった。
その後レース後半はウエーバーが後続との差をコントロールしながら着実に周回を重ね、2番手以降の数台も僅差ながら順位の変動がないままレースは終盤へと移っていく。そんななか、最後尾からあきらめずに猛然と順位を上げていたベッテルが41周目にシューマッハーをパスして8番手まで上がると、残り10周に入っても前を走るスーティルを激しくプッシュし続け、ラスト1周でやや強引ながらもスーティルをパスして7番手を得る。
結局52周のレースはひとりバトルもなくレースを続けたウエーバーが余裕のトップチェッカーを受け、第6戦モナコ以来の今季3勝目を手にした。2位ハミルトン、3位にはピット戦略が功を奏したロズベルグがひさびさの表彰台を得た。
ザウバーの可夢偉は前を走るバリチェロこそ抜けなかったものの、終始安定したレース運びを見せ、2戦連続となる6位入賞を果たしてみせた。