午後4時前、2日目のテスト終了までまだ1時間以上あるにもかかわらず、レッドブルのセバスチャン・ベッテルはさっさとサーキットから帰って行った。わずか8周しただけで、ルノーのパワーユニットに深刻なトラブルが発生。すぐに修理は不可能ということで、もはやいる必要はないと判断したようだ。目撃した同僚の話では、ベッテルはファンたちににこやかにサインを書いてあげたりして、決して不機嫌な様子ではなかったという。
とはいえベッテルはこの2日間で、わずか11周しかしていない。同じ2日間で174周した昨年のへレステストと比べるまでもなく、出遅れは明らかである。ちなみに初日ほとんど走れなかったのは、リアサスペンションのパーツを上下逆に取り付けていたミスを発見するのに夕方までかかったという、ちょっとにわかには信じがたい理由だった。
そして2日目は、ルノーのパワーユニットが原因。具体的にはバッテリーの電力が、どんどん落ちて行くトラブルだった。実は初日15周走ったトロロッソにも、同じ症状が出ていたという。そのため今日F1テストデビューを予定していたダニール・クビアトは、1周もできずに終わった。そしてベッテルも、午前中の8周がすべてだったわけだ。
ルノーにとっては実に間が悪いことに、彼らはこの日のテスト終了後、レース現場を取り仕切るレミ・タファンの囲み会見を予定していた。当然ながら会見場には、釈明を聴こうというジャーナリストたちが押し寄せた。ところがレミの説明は、実に歯切れの悪いものだった。彼自身は非常に有能かつ誠実なエンジニアなのだが、ただでさえ複雑な仕組みの新パワーユニットなのに、細部はマル秘満載でとても具体的な説明などできない。なので英語会見では、「原因はハードウェア」と言ってたのが、念のためにフランス語で改めて訊くと、「正確にはそうじゃない。でもそれ以上は、言えない」と言い出したりする。
それでも何とか理解したところでは、レミは大体のところこんなことを言っていた。
「パワーユニットの各システムは、ベンチテストでは完全に正常に動いていた。しかし車体と初めて組み合わせたところ、予想以上の負荷がバッテリーにかかり、トラブルが生じた。しかしその負荷に耐えられないパーツを交換すれば、問題なく機能する。今夜中に交換が終了するので、明日からは順調に周回を重ねられるはずだ」
一方でこの日は、メルセデス陣営の好調ぶりが際立った。ラップタイムにほとんど意味はないとはいえ、初日まったく走れなかったマクラーレンのジェンソン・バトンがトップタイムを記録。周回数も、43周をこなした。そして本家メルセデスのニコ・ロズベルグは、なんと97周。今日の彼ひとりで、ルノー陣営全員の2日間の周回数(なんとわずか38周……)より、はるかに多くの距離を稼いでいるのである。メルセデスには劣るが、フェラーリ勢も悪くない。システム確認と信頼性向上のために、初テストはとにかく周回を重ねることが重要だ。その意味でルノーは、そしてベッテルとレッドブルは、今のところ大惨敗。いきなり大ピンチに立たされた感じである。
