「こんなにも、走れないものか……。」
2014年のF1初テスト初日を終えての、正直な感想である。車体もパワーユニット(エンジン、ターボ、エネルギー回生システムすべてひっくるめて)もまったく新しいものが登場するのだから、最初からガンガン周回を重ねるようなことはないとは思っていた。にしても、ここまで走れないとは……。
何しろ午前9時から夕方5時までの8時間で、キミ・ライコネンがフェラーリで31周したのが、最多周回。1年前のへレステスト初日の最多周回は、フォースインディアの89周だった。しかも今年は、コースイン直後に止まってしまったり(ライコネン、セルジオ・ペレス/フォースインディア、ジャン-エリック・ヴェルニュ/トロロッソ)、クラッシュしてマシンを大破させたりで(ルイス・ハミルトン/メルセデス)、合計4回も赤旗が振られた。
5連覇を目指すレッドブルは、マクラーレンとともにずっとガレージ待機状態が続く。「余裕で走らない」のではなく、「走りたくても走れない」のだった。終了20分前にセバスチャン・ベッテルがようやく出走したが、わずか3周で初日を終えた。一方マクラーレンは、チェック走行すらできない異常事態。前日、今井弘主席エンジニアに「明日から忙しくなりそうですね」と声をかけた際、「そうなるといいんですけど」と、今思えばおかしなことを言っていた。忙しく働くことさえかなわない状況を、すでに予想していたということか?
テスト開始前には、各チームのガレージ前で新車が慌ただしく披露され、醜いノーズ形状に話題が集中した。レッドブルのエイドリアン・ニューエイも「こんな形状を強いる技術規約は、恥ずべきこと」と吐き捨てていたが、美醜を云々する前に、まともに走れなければ話にならない。そしてガシガシ走るようになれば、不細工なノーズも自然に見慣れるのではと個人的には思っている。ちなみにもうひとつ気になっていた「エンジン音」は、まださほど高回転で回っていないはずの初日でも、ちょっと大人しいながらも、野太いエキゾーストノートを響かせていた。度肝を抜くような大爆音ではないけれど、こちらは十分に許容範囲内ではないだろうか。
