ファイナル・プラクティスを迎えたインディ500ルーキーの佐藤琢磨は、与えられた1時間で35周を走行し、決勝用セッティングの確認に努めた。そのうちの12周目に記録した自己ベスト=時速222.975mph(約358.77km/h)で出場33台中の15番手にランクされた。最も多くのラップ数をこなしたのはルーキーのベルトラン・バゲットで、彼は60周を走った。逆に一番走行が少なかったのはセバスチャン・サベードラで、彼は18周しか走らなかった。
5月28日(木)
インディ500・カーブレション・デイ
「今日は今までの中でいちばん難しいコンディションでした。予定していたところまでチェックできませんでしたが、決勝前に、グリップレベルが低いトラックを体験できたので、決勝に向けてとてもポジティブです。」
Q:今日はファイナル・プラクティスでしたが、コースのコンディションはどうでした?
A:昨日結構激しい雨がスピードウェイに降って、コースのタイヤラバーが洗い流されて、多分コンディションとしてはものすごく悪い状態だったと思います。先週の僕は、バンプデイの日に予選に集中しなきゃいけなかったので、ほとんどレーストリムでの走行をしていません。トラフィックの中でも1回も走ってないんです。だから今日、このコンディションへと戻って来て、トラフィックの中で走って結構ビックリしましたね。今までに感じた中でいちばん難しいコンディションでした。最初はクルマが安定しなくて、全然アクセルを踏んで行けなかった。このままレースすると思ったらちょっと怖くなるぐらいでした。
Q:35周を走って成果を挙げることができましたか?
A:1時間のセッションの中で、限られた時間でも方向性だけは見つけて行かなきゃいけないので、結構いろいろとセットアップを変えてみました。ダウンフォースレベルも変えて見たし、足回りもちょっと変えて見て、クルマがどういう反応をするか、そういう作業をあれこれとピックアップしてやったセッションでした。だから、トラフィックでいろいろトライしてオーバーテイクをしたりっていうことを今日はほとんど試せなかったんですけど、少なくとも他のクルマがたくさん走っている、あるいは今のこのコンディション下で今の自分のクルマがどう反応するかっていうのがよく見えたので、そこは良かったと思います。
Q:自分のすぐ前を走るマシンが1台や2台でも、コース全体を走っているマシンの数がフルグリッドの33台に近い状態となると、それだけタービュランスが大きくなるということですか? 今まで以上の影響を受け、ハンドリングが悪くなっていたんですか?
A:いや、今日はタービュランスに入って行く以前の問題でした。自分ひとりで走っている状態でも、ちょっとクルマが落ち着いていなかったんですね。なので、タービュランスを試せなかった。そこが今日の一点すごく残念な点ですね。ほとんどクルマ(のセッティング)は触らずに、トラフィックの中で練習して日曜日を迎えたいっていう考えだったんですけど、まったく逆で、そこまでの作業に入って行けなかった。それがひとつちょっと、決勝に向けて不安なところです。基本的に、
今日は路面のグリップが大きく落ちていたんですよ。路面のグリップが落ちたことによって、僕らのクルマの悪いところ、今までグリップによってカバーされてたところが強調されて、弱点がすごく顕著に現れたんですね。でも、逆に言えばこれは良かったことなんです。今日コンディションが良くて、日曜が今日みたいなコンディションで走るという逆の状況になってたら、レースは長く苦しい500マイルになっていたと思うので。少なくとも、今日悪いところが見れたところはポジティブに捉えています。これからエンジニアたちとデータをしっかりと分析して、今日経験したことをポジティブに考えて、それをクルマに反映して、日曜のクルマはきっと良いものになるだろうって思って行くしかないですね。
Q:今日、1時間のプラクティスをして、その後にインディライツが50周のレースを行いますけど、土曜日は走行が一切ないので、決勝日のスタート時の路面というのは、また今日の走り始めと似た感じのグリップの低いコンディションになると見ているのですか?
A:そうですね。多分今日の最初の路面に近くなるんだろうと思いますね。
Q:では、その状況で最後列グリッドからのスタートとなると、やっぱり、かなり慎重に行かざるを得ませんか?
A:ハハハハ……そうですね。それだけ大きなタービュランスの真後ろからスタートする。そして多分、常にトラフィックだと思うんですよね。1回もクリーンエアで走ることはないと思うから、乱気流の中でいかに安定したクルマを手に入れるか、それをチェックできなかったのは心残りだけれど、自分たちの弱い部分がハイライト(強調)されたので、そこを何とか直して行きたい。今日はチームメイトとちょっと違うフィロソフィというか、少し違うセットアップをやっていたので、逆に言えば良いところも悪いところもお互いが今持っているから、それをひとつにして行ければいいと思います。
Q:KVレーシング・テクノロジーの3台のグリッドは、マリオ・モラエスが13番手、EJ・ビソが19番手、琢磨選手が31番手とバラバラです。やっぱりセットアップの味付けは、それぞれのレース序盤に予想される状況が異なるので、それらに合わせて違ったものになるのですか?
A:今日3人がトライしたセットアップは、良くも悪くも、そのまま右から左へ反映できる場合と、できない場合がありますよね。あまりにもクルマが違い過ぎる状態だと移せないんですけど、あるポイント、ポイントで見た時にここの部分を変えても、他に影響を与えない範囲で、ある部分が良くなるとか、そういう見方はできる。そういう意味から言えば、今日僕らが3人でトライしたセットアップっていうのは、理論的に言うと日曜日に反映できるのもののはずなので、そこに期待をしています。
Q:ここにちょうど、スポッターをやってくれているロジャー安川がいてくれるんで、ちょっと質問します。ロジャーが5回出場したインディ500で、いちばん後ろのスターティング・グリッドって何番手でした?
ロジャー:26番とか28番手でしたね。
Q:その位置からのスタートはどうでしたか?
ロジャー:スタートは、多分24番手ぐらいから後ろは、前が見えないんですよ。ダストが凄いんで。それにマシンも結構グラつきますよ。
Q:でも、レースによって、33台の間隔が小さい場合、ふたつの集団に割れてしまうような場合、全体的に間隔が広がってしまう場合がありますよね?
ロジャー:そうなんですよね。レースによって、そこは違って来ますね。
A:前の方の間隔は広がって、後ろは詰まっちゃうような?
Q:琢磨選手の場合は今回が初めてのインディ500なので、心構えとかあると思うのですが、どうですか? 予測しようって考えても、しきれないでしょう?
A:もちろん。いつもよりも慎重にならざるを得ないですよね、シチュエーション的に。すべてのレースで慎重にスタートしますけど、インディ500っていう、数週間かけてここまでクルマを作って来て、なおかつトラックの環境がカンザスや、これから行くテキサスとか、僕はまだ知らないけど……少なくともカンザスみたくスリー・ワイド(3台並走)でコーナーに入って行けるような、あるいは2ワイドでずーっと走れちゃうような環境じゃなくて、ここって本当に(ラインが)1本じゃないですか。ウォールのギリギリからインサイドへ行って、そこからまたウォールまで行く。ひとりで走るだけでも大変なのに、そこを33台のマシンが飛び込んで行くんで、おそらくオーバルっていうよりもロードコースの超ハイスピードコーナーへ飛び込んでくって感覚だと思うんですよね。そういう意味では、いつもより慎重に行きたいですよね。あとで幾らでも挽回できますから、レースは500マイルと長いのでね。タービュランスでマシンがすごく引っ張られるっていうことも聞いているし、ドライバーによってはアクセルを半分も踏まなくても同じスピードでついて行けちゃうって言っている。そういうすべてが経験してみなければわからないことなので、慎重に行きます。
Q:燃費も重要なファクターになりますよね?
A:そうですよね。どうなんだろう? 結構タイヤの磨耗もあるので、燃費が良くてロングランができても、タイヤが持たなかったらピットに入って来ないといけない。今年の出場33台はインディ500のヒストリーの中で最もスピード差が小さく、ぎゅうぎゅう詰めの状態らしいので、全体のペースが速く進むと思う。おそらく500マイルという距離からしてエンデュランスレースに近いんだけれども、内容的にはスプリントのレースになると思っています。ロジャーと話をしても、最近のインディ500はもうずっとスプリントだって聞いています。もちろん、ラストの50周、25周がすごく大事なのはわかるんですけど、そこに行くまでに常にリードラップにいなくちゃいけない。僕らは最後列からのスタートなので、最初の5周でリーダーがすぐ真後ろに来るぐらいになっちゃうだろうから、大事に、なるべく早く、しかし慎重にひとつずつ上に上がって行きたいですね。
