ついに公衆の面前に姿を現わした“ツインノーズ”のロータスE22だが、バーレーン合同テスト初日のセッション開始と同時にコースへ飛び出していった後は1日の大半をガレージの中で過ごすことになってしまった。

 ガレージ前に立つ黒いついたての向こうには、完全に組み上がったマシンにロマン・グロージャンが乗り込んで待っているのだが、クルーたちはいかにも手持ち無沙汰といった様子でマシンの周りでただ立っている。グロージャンを担当する小松礼雄エンジニアも自ずと厳しい表情が多くなる。
 慌ただしいのは、ガレージ奥のコンピュータに向かい合ったデータエンジニアとルノーのエンジニアの周りだけ。1週間前にヘレスでシェイクダウンを済ませてきたロータスE22だが、ここでもルノーのパワーユニット(バッテリー)にトラブルが起きてしまったのだ。正午を回ったところでコースインの予定を取りやめ、グロージャンは安全を期してマシンから飛び降り、ロータスのテスト初日はこれで終わりとなった。

 ヘレスでトラブルが多発して危機的状況に追い込まれたルノーは、ここバーレーンでも厳しい目を向けられた。ケータハム以外のユーザーチームはどれも数えるほどの周回しかこなすことができなかったのだ。セッション終了後、ルノーのトラックオペレーション責任者レミ・タファンの元にはまたしてもメディアが詰め寄った。
 やはり問題は解決できていなかったのではないか? いつまで「努力している、改善している」という応答を続けるのか? レッドブルからのプレッシャーはないのか? そんな遠慮のない矢継ぎ早の質問にやや苛立ちを見せながらも、タファンははっきりと言った。
「新たなトラブルが出たのは事実だが、ヘレスでのトラブルは解決済みだし、我々のパワーユニットにはコース上にマシンを停めるようなトラブルはなかった」

 コースオフして止まったレッドブルRB10がレッカー車でガレージに戻ってくると、周辺には何とも言えない焦げ臭い匂いが漂っていた。聞けば、オーバーヒートによってリヤブレーキに問題を抱えてスピンオフしたらしい。

 朝からガレージの扉を閉めて作業を続けていたトロロッソも、オイル漏れの究明作業に追われていただけだった。つまり、いずれも車体側の問題だ。そしてケータハムは順調に68周もの周回を重ねている。
「基本的に我々はレッドブルの作業が終わるのを待っていただけだ。走り始めも走り終わりも、彼らが決めたんだ(=レッドブルの問題だった)。我々としてはケータハムもレッドブルもトラブルフリーの走行だったんだ」とタファン。

 ロータスに起きた問題は、ヘレスでルノーのバッテリーに起きたものと類似のマイナーなもので、引き続きアップデートを続けることで解決していくとしている。
 タイムシートの周回数だけを見て、ルノーがまたしても深刻な状況に追い込まれていると考えるのは早計だろう。
「リラックスなんてできないよ、でもストレスは減ったね……」

 去り際にタファンがふと漏らした。おそらくそれが彼の本音であり、ルノーの本当の現状を物語っているのだろう。

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