IZODインディカー・シリーズは、アイオワ・スピードウェイで第8戦が開催。24日には予選が行われ、佐藤琢磨(KVレーシング/ロータス)がインディカー・シリーズで日本人初となるポールポジションを獲得した。2番手には、ダニカ・パトリック(アンドレッティ・オートスポーツ)、3番手には琢磨のチームメイトであるトニー・カナーンが入った。
ついに佐藤琢磨がやった。インディカー・シリーズで日本人ドライバーとして初めてのポールポジション獲得を達成したのだ。しかも、それはオーバルコースで成し遂げられた。
予選前に行われたプラクティスから琢磨の調子は上々だった。1時間15分のセッションの終了間際、2セットのタイヤを連続して投入し、予選シミュレーションを行った。その1セット目で琢磨はトップタイムをマーク。しかし、同じタイミングで予選シミュレーションを行っていたスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ)が琢磨を上回る。
すぐさま2回目の予選シミュレーションを行った琢磨は、ディクソンからトップを奪い返した。ところが、今度はダリオ・フランキッティ(チップ・ガナッシ)の予選シミュレーションによって琢磨のタイムを破り、トップとなった。琢磨はこのセッション、フランキッティとディクソンの間の2番手タイムをマークした。
インディ500以外で琢磨が2セットのタイヤを投入して予選シミュレーションを重ねるのは、今回が初めてのはずだ。それだけ予選にかける意気込みは強く、自信もあったということだろう。
夕方4時過ぎに予選はスタート。琢磨のチームメイトのカナーンは、2番目にコースインして2ラップ平均で時速180.170マイルをマークした。彼のスピードを破る者が出ないまま琢磨の順番は回ってきた。そして、琢磨はチームや自らが期待した通りの走りを披露し、2ラップ両方を180マイル台に載せてトップに躍り出た。
琢磨の直後にアタックしたダニカがカナーンを上回って予選2番手となり、ペンスキー勢はウィル・パワーが5番手、ライアン・ブリスコーが10番手、エリオ・カストロネベスは13番手と沈み、琢磨のキャリア初ポール獲得が決定。KVレーシング・テクノロジーにとっては、チャンプカー時代の2005年以来となる通算3回目のポールとなった。
アイオワ・スピードウェイは武藤英紀が2009年に2位になったコース。日本人ドライバーと相性がいいのかもしれない。明日、琢磨は初の表彰台、そして優勝を目指して戦う。
ヒロ松下が初めてPPGインディカー・ワールド・シリーズに参戦したのは1990年だった。以来、多くのドライバーがインディカーに出場してきたが、予選でのベストリザルトは中野信治と松浦孝亮の2番手だった。日本人ドライバーが22年目にして初めてアメリカン・トップ・オープン・ホイールでポールポジション獲得を達成した。
「いやぁ、うれしい。ポールポジションは凄くうれしいです」と琢磨は笑顔を見せた。「去年もアイオワは良かったから、今年も良いとは考えてましたが、プラクティスを走り出すまでは不安もありました。プラクティスではニュータイヤを3セット使って、集中してクルマ作りをやりました。そして、予選ではベストの走りができた。トニー・カナーンがほぼ同じセッティングで走って、マシンがかなりハンドリングがシビアになっているという情報をくれていたのも大きかった」と予選を振り返る琢磨。
「自分のキャリアにとってもうれしいポールですが、これまでにたくさんの日本人の先輩たちが挑戦してきて、今回こうして初めてのポール達成になった。インディカー・シリーズで日本人が一歩前へと進むことができたと思います。自分としても日本のモータースポーツ界に少しは貢献できたのかな……と思います」と琢磨は話し、「決勝は予選より重要。夜のプラクティスでマシンを良いものに仕上げます」と意気込みを新たにしていた。