真夏の陽光が降り注いだ鈴鹿サーキットで9月1〜2日、開場50周年を記念したイベント「鈴鹿サーキット50周年アニバーサリーデー」が開催された。

 鈴鹿サーキットがオープンしたのは1962年の9月。ちょうど50年後の今年、数十台の4輪&2輪マシンが同地に集い、日本のモータースポーツ史を彩ったレーサーとライダーたちが2日間にわたって往年の走りを披露した。

●往年の名車が多数登場
 イベントは50年前と同様、2輪の全日本ロードレースバイクで幕開け。谷口尚己、菱木哲哉に高橋国光が加わり20台以上のマシンが50年前の2ストサウンドを響かせた。特別ゲストとして鈴鹿のオープニングレースである第1回全日本選手権ロードレースで優勝した元世界チャンピオン、ジム・レッドマンが来場し走行。ファンから熱い拍手を贈られていた。

 さらに日本の4輪モータースポーツ史の黎明期を支えたマシンたちが走行。ホンダS800ヨタハチ、日野コンテッサ、ジャガーEタイプのほか故ピーター・ウォーが駆って第1回日本グランプリを制したロータス23Bらが登場。さらにこの日のために日産自動車の有志社員がコツコツとレストア作業を進めた日産旧車再生サークルのS54プリンス・スカイラインGTとポルシェ904GTSが揃って走り、第2回日本グランプリの名シーンを“再現”。ほかに本山哲が「自分が生まれる前」のハコスカGT-R(PGC10)、柳田春人がダットサン・フェアレディ1500をドライブし新旧日産ファンを沸かせた。

 コース上のイベントは45年以上の歴史を持つ伝統のビッグレース「鈴鹿1000km」の出場車(マーチ74S、マツダ767B&787B、日産R92CP、ザナヴィNISMO GT-Rなど)、鈴鹿フォーミュラ(桑島正美のマーチ742、星野一義のペンタックスノバ532P、CABINカラーが懐かしい片山右京の全日本F3000戴冠車=ローラT90/50のほかFL500マシンがなんと14台も!)と続き、いよいよメインイベントである「鈴鹿F1レジェンド」の走行帯に。

●ホンダF1、鈴鹿を駆ける
 ここではホンダエンジンを搭載して栄光の時代を築いてきた新旧のF1マシンがズラリと登場。第1期のRA272を高橋国光、RA300を宮城光、RA301を鈴木亜久里がドライブし、ホンダミュージックと形容された官能的な12気筒サウンドをスタンドの大観衆に響かせた。さらに第2期はウイリアムズFW11を星野一義、ロータス100Tを中嶋悟が操り、アイルトン・セナの愛機であったマクラーレンMP4/4はフォーミュラ・ニッポン&GT500ドライバーの伊沢拓也がドライブ。同じく塚越広大がMP4/5を走らせた。第3期唯一のウイニングカーであるRA106は小暮卓史が「超緊張しています」と言いながら走らせ、現代F1マシンのサウンドとスピードを見せつけた。

 星野と中嶋のふたりは今春の「鈴鹿ファン感謝デー」から始まったF1バトルの「最終決戦」として戦う機会を設け、3ラップの本気走行を2度にわたって繰り広げた。最終的にはハナの差で星野が先行してフィニッシュ。レース後のトークでは和気あいあいとしたコメントを連発し健闘を称え合った。伊沢と塚越も「セナとプロストが走っていた、憧れのマシン」で対決走行を行ない、見ている方がヒヤヒヤするほどの丁々発止を展開し場内を沸かせた。

●アレッサンドロ・ナニーニ、“神業”披露
 そしてスタンドのファンに感動を呼んだのがアレッサンドロ・ナニーニの来場。ナニーニは1989年のF1日本GP優勝者であり、97年の鈴鹿1000km優勝者。96年のITCでも鈴鹿を走っている。53歳となった今でも自身の高い人気に目を丸くしながらも、「鈴鹿は自分に幸運をもたらしてくれる特別なサーキット。施設も立派になって、チャレンジングなコースは当時のままで本当に素晴らしい。こんなイベントに呼んでもらえて、本当にうれしいよ」と感謝のメッセージを述べた。

 ナニーニは鈴木亜久里が90年に日本人初となる表彰台を獲得したエスポ・ラルースLC90ランボルギーニをドライブしたが、これは彼にとって22年ぶりの「Hパターン・シフト」となった。90年日本GP直前にヘリコプター事故で負った右腕切断という大事故を乗り越え、今回はなんと胸の前で腕をクロスし「右手でステアリング保持、左手でシフト(!)」という離れ業を敢行。実際、そんなことが信じられないほどの華麗なドライビングを披露し来場者を驚かせた。

 ほかにもコーク・バリントン、ケニー・ロバーツ、フレディ・スペンサー、ワイン・ガードナーらの豪華な競演が見られたWGPの走行、エディ・ローソン、岡田忠之、玉田誠ら有名ライダーによる「8耐英雄伝説」などが行なわれ2輪/4輪ファンの双方が満足できる魅力的なイベントとなった。

●6万2000人が鈴鹿50周年を祝う
 グランドスタンド裏のGPスクエア内・特設アニバーサリーステージでは彼らのトークショーが終日行なわれ、場内の各所ではトミカスカイライン・シルエットGr.5やいすゞベレットR6クーペ、トヨタ7ターボに三菱コルトF2000、日産グロリアなどが展示。希少な旧車たちと並び、こちらも多くのファンを集めていた。

 2日に行なわれたセレモニーでは鈴鹿サーキットを運営するモビリティランドの曽田浩社長が「走れ。未来へ。」というスローガンとともに「次なる50年」への期待と決意を宣言。土・日合わせて6万2000人もの観衆が集い、彼らはその歴史を肌で感じ取っていた。

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