今季、スーパーGT300クラスにフリースケール・セミコンダクタ・ジャパン/OGT!のオレンジのカラーリングで挑むaprのOGT Panasonic PRIUS。デビュー2年目の昨年は第2戦富士で優勝を飾ったが、3年目の今季に向け、aprではプリウスGTに大改良を施し、「全戦全勝を狙う」という。

 チームは今季もプリウスGTのドライバーとして、新田守男と嵯峨宏紀を起用。3年目のコンビネーションは不動だが、カラーリング、そして何より車体内部は劇的に変わるという。この日、会場内にプリウスGTは展示されなかったが、それもそのはず。プリウスGTは現在、「改良の真っ最中」だとaprの金曽裕人監督は語る。

 トヨタのハイブリッド先行開発室と連動しながら開発を進めてきたプリウスGTは、市販車に技術をフィードバックするのが大前提の存在。参戦開始からの2年間は、スポーツカーにおけるハイブリッドの方向性を探る戦いでもあったが、多くのトラブルに見舞われながらも、優勝、表彰台という結果も残してきた。

 そんなプリウスGTは2014年、「必ず勝とうと。全戦全勝するくらいのクルマを作ろう」というコンセプトの下、シーズン終了後aprで車体をすべて分解し、『ビッグマイナーチェンジ(金曽監督)』という大規模な改良を受けているという。

 具体的な改良箇所について金曽監督は、「ライバルと何が違うかと言ったら、プリウスはヘビーウェイトだったこと。そこを軽くすることをやりましょう、というのが第一テーマ」と言う。2013年のプリウスは、市販車のシステムを使っていたこともあり、重量は1305kg。一方、ライバルと言えるホンダCR-Z GTは、1200kg以上という公称値だった。

 そのため、まずはマシンの軽量化に着手。車体の低重心化、オーバーハングの軽量化、フレームの見直し、配線や配管等もコンパクト化に着手していったという。さらに、いちばん重さに影響していたハイブリッドシステムも軽量化に着手。モーターは初年度は市販のプリウスのものを使用していたが、2年目はアクアのものに交換。3年目の今年は、レクサスのハイブリッド車で使用するものにスイッチする。

「やはり設計が新しくなればなるほど、軽量化技術に繋がった市販車の部品が出てくる。市販車の部品の中で最先端のものを、モータースポーツに使えるかどうかをやってみよう、というイメージ」と金曽監督。結果的にシャシー、ハイブリッドシステム全体で、なんと100kgもの軽量化を果たすという。ハイブリッドシステムについては、クーリング性能のアップも為される。

 また、エンジンのパワーバンドを拡大。ハイブリッドでのドライバビリティ向上のためにパドルシフトを搭載したり、ステアリングフィールの改善、昨年までGT500クラスで使われていたサードダンパーの採用、ザックス製スルーロッドダンパーを含む足回りの改善など、「ドライバーに優しいクルマ」を目指していく。

 外観上でも変化が見られそうだ。14年に向け、aprでは風洞実験を実施。空気抵抗が少ないプリウスのボディをさらに活かし、ダウンフォース量を向上。さらに、昨年までGT500クラスのレクサスSC430でも使用されていたような、スワンネック形状のリヤウイングステーが使われる。

 これまで、1305kgの重量がハンデとなっていたプリウスGT。もちろん、ハイブリッドシステムはエクストラパワーも得られるが、レースにおいては"諸刃の剣"と言える。今回の軽量化は、燃費やパワーの面のメリットを活かしながら、デメリットの部分を減らしていく市販車にも通じる技術と言える。

 一昨年から続く、ホンダCR-Z GTとの"ハイブリッド対決"は、プリウスGTが先に勝利を飾りながらも、チャンピオンはCR-Zが獲得。今季のプリウスGTが見据えるものは、チャンピオンだけだ。

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