ヨーロッパを中心に世界各国で使用され、アジアでも近年同じ規定の車両を使ったレースが増えているFIA-GT3規定。日本でもスーパーGT300クラスやスーパー耐久でこの車両が使われているが、2014年に向け、新たなGT3を中心としたジェントルマンレースが構想されている。
このレースは、スーパーGTにOKINAWA-IMP SLSで、スーパー耐久でPETRONAS SYNTIUM TEAMでメルセデスベンツSLS AMG GT3を走らせているシフトの代表、竹内浩典が構想するもの。もともとFIA-GT3規定の車両は、ヨーロッパではレースを愛好するリッチなジェントルマンドライバーがプロと組み戦うレースで使用されることを想定されており、車両コストは3000万〜4000万程度。FIAによる性能調整(BoP)によって均衡が図られている。
日本ではスーパーGT300クラスとスーパー耐久のST-GT3クラスでGT3車両が参加ができるが、GT300クラスではJAF-GT車両との混走、またプロ化が進み、ジェントルマンドライバーにはハードルが高い。また、スーパー耐久はGT3と、ST1からヴィッツやデミオが走るST5クラスまでの混走という状況でリスクが高い。
そういった環境の日本はある意味GT3マーケットの中では特殊で、孤立している感もある。それを危惧するGT300チーム関係者も多いが、竹内は「GT3のキャラクターを活かすことができるルール作りをしないと、GT3の市民権はそれほど長く続かないだろう」と不満を訴える。
そこで竹内が構想したのが、GT3カーを中心としたジェントルマンレース、『スーパーカーレースシリーズ』だ。参加カテゴリーはふたつ。カテゴリーIはFIA-GT3規定の車両(年式問わず)が参加でき、FIAのBoPを採用。一方、カテゴリーIIとしてポルシェやフェラーリ、ランボルギーニ等のカップカーが参加できるクラスが設けられ、こちらは車種ごとに規定が別途設けられるという。
レースフォーマットとしては、原則として2デー開催。1日目に予選と第1レース、2日目に第2レースを実施。レースは60分で、ドライバーは2名。途中ピットインしてドライバー交代するほか、1ポイント1秒のピット停車時間(最大60秒まで)のハンデキャップが設定される。
この『スーパーカーレースシリーズ』の主役は、ジェントルマンドライバー。ドライバーの実績でランクがつけられ、いわゆるプロにあたる“プラチナ”ドライバーも参加はできるがプロ同士のペアは不可。ジェントルマンドライバーに週末を満足してもらうため、ケータリング等も充実させる。
同時に、このレースでは期間中にスーパーカーのお祭りを実施することを構想している。オーナーやインポーターによるスーパーカーの展示や走行会を実施して、来場した人全員が楽しめるイベントにしようというものだ。
現在の予定では、14年の日程は6イベント12戦。開催地は富士、鈴鹿、もてぎ、岡山だ。竹内が手本としているのは、ヨーロッパで現在隆盛を誇るブランパン耐久シリーズ。日本でもブランパンのような高級ブランドのスポンサーを得て、リッチ層の社交場ができあがれば、サーキットは華やかになるはずだ。
なぜこのシリーズが求められるのか。現在のスーパーGT300クラスにおけるGT3車両の状況、JAF-GT車両の2年目の進化、この『スーパーカーレースシリーズ』のさらなる狙いについて、10月4日(金)発売のオートスポーツNo.1366では『カオスの輝きを守れ。〜GT300クラスのいまと未来を考える』と題して、詳しくお届けしている。こちらもぜひ御一読いただきたい。
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