11月7日〜8日、GAZOO Racing 86/BRZ Race最終戦が鈴鹿サーキットを舞台に開催され、プロフェッショナルシリーズのポールポジションは服部尚貴(OTG GY 86)が獲得。しかし、雨に見舞われた決勝レースでは徐々に順位を落とし、オープニングラップのうちにトップに立った元嶋佑弥(GT RACING 86)が初優勝を飾った。クラブマンクラスでは松原怜史(N青森asset千歳BS86)が連勝を果たし、3位フィニッシュの遠藤浩二(CG ROBOTかえる君BS86)が初代チャンピオンに輝いた。

 86/BRZ Raceも、これがいよいよ最終戦。すでにプロフェッショナルシリーズのチャンピオンは谷口信輝(KTMS 86)に、ランキング2位も阪口良平(AREA86倉敷)には決まっているが、近藤翼(神奈川トヨタ☆DTEC86R)や青木孝行(ケーエムエスADVAN 86R)らによるランキング3位争奪戦が勃発しているほか、そして何より、最終戦を制してすっきりシーズンオフを迎えたいと誰もが思っているため、単なる消化試合とはなりそうもなかった。

 その予選は、まさに一発勝負。先頭でコースインした織戸学(モルフォ頭文字DサミーK1 86)が2分31秒120をマークしてトップに立ったのも束の間、服部尚貴がひとり2分31秒を切る、30秒964を叩き出して逆転。3番手につけた元嶋佑弥(GY RACING 86)、4番手の青木、そして6番手の谷口は、揃ってワンアタックでピットに戻ることとなった。5番手につけた佐々木雅弘は、もう1周アタックするも、タイムアップならず。次の周にはピットへ。一方、思うようにタイムが出ない阪口は、一旦ピットに戻り仕切り直すも短縮できず、今季ワーストの19番手。また、練習走行でトップだった蒲生尚弥(ASICS Blue 86R)は、コースインをギリギリまで遅らせて完璧なクリアラップを取るも、8番手につけるのがやっとだった。

「位置取りも良かったし、走りも我ながら(笑)。クルマも良かったし、グッドイヤーのタイヤもこの低い路面温度に合っていて、すべて完璧でした。これでレコードタイムを塗り替えたし、こないだのS耐でもレコードタイム出せて、鈴鹿で86走らせたら、俺が一番だっていうのが証明されたから、もう満足」と服部。その服部から1秒以内に10人がひしめき合っていた。

 なお、今回は用意された40のグリッドに対して、エントリーは43台とあって予選落ちが出ることに。無念の3台の中には、原因不明のエンジントラブルに苦しんだ、第2戦のポールシッター山田英二(CUSCO BS 86)も含まれていた。

 しかし、決勝レースに向けては、誰もが口を揃えて「どうなるか分からない」と話した。予選まではドライコンディションが保たれたが、決勝は雨に見舞われるとの予報が出ていたからだ。

 実際に日曜日は早朝から雨。スタート進行が始まる直前に一旦はやんでいたものの、その後再び降り始めたばかりか、グリッドにマシンが1台、また1台と並ぶにつれて勢いを増したから質が悪い。

 そんな中、服部は無難なスタートを切ってトップで1コーナーに飛び込む。しかし、織戸、元嶋がピタリと食らいついて離れない。そして、元嶋が「去年もこんな雨の中、抜いてきた」デグナーで、服部と織戸をまとめてかわし、早くもトップに躍り出る。なお、その直前のダンロップコーナー立ち上がりでは、4番手につけていた青木がスピンしてコースアウト。すぐに復帰はできたが、ランキング3位争奪戦からは脱落してしまった。

 服部が思うようにペースが上げられず次第に順位を落としていったのとは対照的に、勢いに衰えがなかったのが元嶋と織戸だった。2周目にはコースのいたるところで織戸は元嶋にプレッシャーをかけ、すぐにでも抜いてやるとばかりの構えを見せた。しかし、3周目にはふたりの差が約5秒にまで拡大。130Rで織戸が縁石に乗ってスピンしていたためだ。それでも、3番手との間隔は大きく広げていたこともあって織戸はポジションをキープした。

 一方この時3番手につけていたのは佐々木。そして、その背後にまで迫っていたのが、なんと予選13番手だった山野直也(CABANA P.MU 86)だった。「この天気を見越して、フルウェット仕様にしていたから、予選はあんな位置だったけど」と、狙いどおりの展開にしてやったりの様子。4周目の2コーナーで佐々木をかわすと、今度は織戸にも迫っていく。

 だが、織戸も鉄壁のガードで山野の逆転を許さない。その間に、首位の元嶋が逃げ切りを果たし、86/BRZ Raceの初優勝を挙げることとなった。「絶えずプッシュしていないといけない厳しい展開で、しかもいちばんプレッシャーのかかる、なかなか勝てなかったレースで、ようやく勝てて良かったです。これで今年は出たレース、全部勝てました!」と元嶋。2位の織戸は「勝てたレースだから、すごく悔しい」と語れば、「こういう、いっぱい抜いてくるレースはあんまり経験していないので、優勝した時より嬉しいかも」と3位の山野。思いはそれぞれだった。

 4位の佐々木に続いたのは、予選17番手だったチャールズ・カキン(BRIDE ADVAN 86)で、6位は久保凛太郎(CG ROBOT BS 86)が獲得。そして7位に入った近藤が、注目されたランキング3位を守り、山野と佐々木がそれぞれふたつランキングを上げて、4位、5位を獲得した。なお谷口は、セッティング変更が裏目に出てペースが上げられなず、接触もあったことからピットに戻ってリタイアとなっている。「最後は最悪」と振り返った谷口。

 また、プロフェッショナルシリーズに先駆けて行われたクラブマンシリーズでは、松原が2戦連続でポールポジションを獲得。2番手には小野田貴俊(N東埼玉T埼玉KND2和光86)が、そして遠藤が3番手を獲得した。

 ウェットに転じた決勝レースでは、「スタートを決めて前に出られれば、そのまま逃げ切れるはず。最後まで(王座獲得を)諦めません」と意気込んでいた小野田だったが、好スタートを切った松原を逆転できず。そればかりか、2周目には1秒半のリードをつけられてしまった。

 小野田にとって好機到来かと思われたのは、3周目からのSCラン。二輪シケインの先でクラッシュがあり、コース上にストップした車両があったためだ。「せっかくのリードが……と思いました」と松原も言うが、「すぐに気持ちを切り替えて、タイヤを冷やさないよう心掛けました」のが功を奏し、さらに完璧なリスタートで小野田を寄せつけず。その結果、ラスト2戦を松原が連勝で締めることとなった。

 そして、3位は遠藤が獲得し、クラブマンシリーズの初代チャンピオンに輝くことに。「シリーズ前半は順調に来たんですが、雨が苦手だったり、クルマにトラブルが出始めたりして、こんなに苦労することとなってしまいました。チャンピオンになれて良かったです」と遠藤。4位は岩本佳之(カローラ名古屋86Racing)が獲得、そしてBレースでは米田利唯(富山トヨペットDL 86)が優勝した。

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