7月からの開幕とあって、まさに連戦の印象が強いGAZOO Racing 86/BRZレース。前回の鈴鹿ラウンドから、また2週間後に岡山国際サーキットで第4戦が開催された。
台風接近の影響で金曜日に行われた練習走行はウエットコンディションだったが、その台風が土曜日の未明には温帯低気圧に変化したため、土曜日には天候が一転。ドライコンディションの中で予選が行われた。
今回もエントリーは60台。そのうち4台が参加を取り消したものの、決勝レースに用意されたグリッドは38台とあって、18台がコンソレーションにまわらざるを得ない。予選のAグループでは、またも山野直也(P.MU RACING 86)がトップ。1分52秒913をマークし、2番手につけた蒲生尚弥(ケンダタイヤ86)ですら1秒の差をつけられる。またもアタック1周目にベストタイムを記録した山野ながら、今回そのまま走行を続けたのは「自分の中では納得のいかない部分もあった」ため。
「もう1周行ったんですが、目の前でスピンがあって(苦笑)。それでクールダウンを入れて、最後もう1周行ったんですが、オイル旗が出ていたこともあって伸びませんでしたね」と山野。また、今回はスーパーフォーミュラ参戦中の平川亮(広島トヨペット86)が初登場。不慣れなはずのハコも巧みに操り、グループ5番手につけた。
Bグループでは谷口信輝(コウベトヨペット86)がトップながら、54秒092がベスト。それでもヨコハマ勢の最上位とあって、「誰でもブリヂストンを履いただけで2秒縮まる」という噂があることから、谷口がもし仮にそれを履けば、山野並みのタイムは出たかもしれない。2番手には阪口良平(AREA86倉敷)がつけ、上位にはスーパー耐久とWエントリーのドライバーが揃っていた。
明けて日曜日の決勝レースは、あいにくの雨模様。となれば、ウエットコントロールに定評のある谷口にとって巻き返しのチャンスかと思われた。ところが、現実は正反対の結果に。ウエット路面の方がよりブリヂストンの優位性が際立ち、結論から言うと谷口はズルズルと順位を落としてしまう。もっとも、こんな状況にライバルメーカーが手をこまねいているはずもなく、新スペックが終盤戦には投入されるとのもっぱらの評判である。
話は戻って、レースはセーフティカースタートとなり、1周の先導の後、バトルが開始される。またしても山野がロケットスタートを決めて、1コーナーに飛び込んでいき、その後ろでは蒲生が谷口を早々に抜いて2番手に。そのまま逃げ続けるものと思われた山野ながら、3周目を境に伸びを欠くようになる。というより、むしろ蒲生のペースが速く、5周目には完全にテール・トゥ・ノーズ状態になる。必死にガードを固める山野ながら、その間に阪口、そして平川も近づき、しばらくは4台によるトップ争いが繰り広げられた。
山野の抵抗も8周目まで。アトウッドコ―ナーで蒲生の大外刈りを食らうと、もはや観念したよう。トップに立った蒲生には最終ラップ、バックマーカーが大量に現れ、行く手を阻まれてあわやのシーンも見られたものの、コンマ2秒差で初優勝を飾り山野の連勝を3で止めた。
また阪口と平川のバトルも最後まで繰り広げられたが、そこは経験の差で阪口が先着。2戦連続で3位を獲得した。
「タイヤの内圧をしっかり合わせて前半勝負と考えなるべく早く抜くつもりでしたが、なかなか抜けず苦しい戦いを前半は強いられました。でも、中盤からはペースもキープできたので、山野選手を抜いて優勝することができました。このいい流れを保って、残り全部勝つつもりでチャンピオンを狙います」と蒲生。
なお、今回は入賞者に失格があったが、これは外してはいけないスピーカーを外してしまったため。オーナーの不注意というが、改めて規則の熟読を願いたいところだ。