F1第8戦カナダGP決勝はマクラーレンのルイス・ハミルトンがポール・トゥ・ウインで2戦連続優勝を飾った。2位はジェンソン・バトンでマクラーレンが1-2。3位にはフェルナンド・アロンソ(フェラーリ)が入った。BMWザウバーの小林可夢偉はリタイアに終わっている。
決勝を前に予選2位のマーク・ウエーバー(レッドブル)がギヤボックス交換で7番手にドロップしたため、代わってフロントロウにはチームメイトのセバスチャン・ベッテルが着くことになった。決勝のスタートは現地時間の午後0時。心配されていた天候は前日までの曇り空がうそのように晴れ上がり絶好のレース日和となった。気温は25度、路面温度は38度、湿度は46%というコンディション。ポールのハミルトンは予選Q3で履いたスーパーソフトタイヤを装着、一方のベッテルはミディアムタイヤを装着しており、タイヤの耐久性が序盤の注目ポイントに挙げられている。
レースは上位勢がほぼ無難なスタートをきるなか、2コーナーでエイドリアン・スーティル(フォース・インディア)とフェリペ・マッサ(フェラーリ)が交錯してそれぞれポジションをダウン。マッサは緊急ピットインを行う。後方でも、後にジャンプスタートが判明したビタリー・ペトロフ(ルノー)がスタート直後にペドロ・デ・ラ・ロサ(BMWザウバー)を巻き込んでスピンした。
BMWザウバーのもう一台、小林可夢偉は先の混乱をうまくかわして10番手まで順位を上げていたが、オープニングの最終コーナーでニコ・ヒュルケンベルグ(ウイリアムズ)と争った末に縁石に大きく乗り上げアウト側の壁に接触するとその先のストレートでマシンを止めた。
序盤はハミルトンがレースをリードするが、マクラーレンやフェラーリなどスーパーソフトを履くマシンは10周もたたずにタイムが頭打ちとなり、やがてミディアムタイヤを履くレッドブル勢やロバート・クビカ(ルノー)らがペースを上げてくる。
5周目、5番手に順位を上げていたウエーバーがバトンをかわして4番手に浮上し、7周目には先頭のハミルトン以下の4台が早くも連なる状態になってしまう。するとこの周の終わりでハミルトンとアロンソがピットイン。それぞれミディアムタイヤに交換した2台はピットアウトの攻防でアロンソが前に出た。一方、スタートからミディアムタイヤを履くレッドブル勢はウエーバーが13周目、翌周にベッテルがピット作業を行ったが、ウエーバーが引き続きミディアムタイヤを選択したのに対し、ベッテルはここでスーパーソフトを装着した。
ほぼすべてのマシンが1回目のピットを終えた段階の順位はハミルトン、アロンソ、バトン、ベッテル、ウエーバー、クビカというオーダー。トップ争いはハミルトンが15周目の最終コーナーでアロンソをパスしている。
その後、上位勢はほぼ1秒前後の間隔を保ってレースを進めていき、トップのハミルトンと5番手ウエーバーまではおよそ6秒。一方、6番手のクビカ以降はハミルトンからすでに10秒以上も離されトップ争いからは一歩後退するかたちとなっている。
26周目、トップのハミルトンが2回目のピットインに向かう。するとライバル勢もほぼ同じタイミングで2回目のタイヤ交換を始めていった。上位勢では27周目に3番手バトンと4番手のベッテルが入り、バトンはチームメイトと同じく引き続きミディアムタイヤを装着。ベッテルもスーパーソフトからミディアムに戻した。2番手のアロンソは28周目に入り、こちらもタイヤをミディアムとしている。
一方これで暫定ながらトップに立ったウエーバーはこのタイミングではピットインを行わずにそのままレースを続行。この時、上位勢ではウエーバーだけがグリップの耐久性に不安のあるスーパーソフトを残している状態だ。
それでもウエーバーは後方を走るハミルトンとのギャップを徐々に広げると、35周目過ぎにはその差を12秒近くと意地を見せた。しかしそれ以降は逆にリードタイムを失っていき、ピットインのタイミングを逸したウエーバーは50周目に後続のハミルトンらにのみ込まれる形でようやく2回目のピットインを行った。
レースはこれでハミルトン、アロンソ、バトンのオーダーとなり4番手にベッテルがつける。その中、トップ3と同じミディアムタイヤを履くベッテルだけはライバルから徐々に遅れだし、50周目以降はその差が5秒以上に広がる。また6番手まで順位を下げたウエーバーはピットアウトした段階でトップから15秒以上も離され、レッドブル勢はこの時点で優勝争いから脱落するかたちとなった。
ハミルトン、アロンソ、バトンの3人に絞られた争いはハミルトンがリードを保ち終盤へ。すると56周目にバトンがアロンソをかわして2番手に浮上、これでマクラーレンは1-2態勢を築く。レースは結局ハミルトンがそのままトップでチェッカーを受け、2位バトンと共にマクラーレンが2戦連続で1-2フィニッシュ。アロンソが3位に入り、カナダはひさびさにレッドブルのいない表彰台となった。
以下ニコ・ロズベルグ(メルセデスGP)、クビカ、セバスチャン・ブエミ(トロロッソ)、ビタントニオ・リウッツィ(フォース・インディア)、スーティルがポイントを獲得。メルセデスのシューマッハーは終盤までポイント圏内にいたものの、最終ラップでフォース・インディア勢に立て続けにオーバーテイクされ、11位でレースを終えている。