F1第7戦トルコGPの決勝はマクラーレンのルイス・ハミルトンがトップチェッカーを受け今季初優勝を挙げた。2位はジェンソン・バトン(マクラーレン)、3位にはマーク・ウエーバー(レッドブル)が入った。BMWザウバーの小林可夢偉は10位に入り、今季初ポイントを獲得している。
決勝日の現地イスタンブールパークは快晴につつまれ、レース開始時刻の午後3時(現地時間)時点の気温は28度、路面温度は47度というコンディション。予選でポールポジションと3番手を獲得したレッドブル勢はスタートに有利なアウト側、一方2、4番手につけたマクラーレン勢はイン側からのスタートとなっている。決勝前にエンジン交換を行ったルーカス・ディ・グラッシ(ヴァージン)はピットからのスタートを選択した。
レースはポールのウエーバーが無難なスタートからオープニングの隊列をリード。2番手スタートのハミルトンはスタート直後の1コーナーでセバスチャン・ベッテル(レッドブル)に一旦先行を許したが、直後の3コーナーで逆転して2番手をキープ。4番手バトンも同じようにミハエル・シューマッハー(メルセデスGP)にポジションを奪われたが、最終区間の12コーナーで4番手を奪い返すことに成功している。
10番手スタートの可夢偉は2周目の1コーナーでエイドリアン・スーティル(フォース・インディア)にパスされてしまい、ひとつポジションを落として11番手からレースを始めることになった。
序盤、2番手を走るハミルトンは先頭のウエーバーにストレートエンドで繰り返しプレッシャーをかけるが、一方のウエーバーもRB6が得意とするターン8のセクター2でギャップを拡げるなど両者は一進一退の攻防を展開。その後方でも3番手ベッテルと4番手のバトンが1秒前後の差でトップ2台をピッタリとマークしている。5番手のシューマッハー以降は上位陣から徐々に離され始めていて、レースは早くもレッドブルとマクラーレンによるマッチレースの様相となっていった。
10周目、11番手の可夢偉からタイヤ交換を開始する。可夢偉はこのピットストップで10番手のスーティルを逆転するが、後ろにつけていたフェルナンド・アロンソ(フェラーリ)に抜かれて結局ポジションはそのまま。上位陣では16周目にウエーバーと同時ピットインを行ったハミルトンが、1周前にピット作業を済ませていたベッテルに逆転されてレッドブルの1-2態勢を許してしまう。
ここで上位陣はタイヤを硬いコンパウンドのハードタイヤにチェンジ。20周を終えた時点の順位はウエーバー、ベッテル、ハミルトン、バトン、シューマッハー、ニコ・ロズベルグ(メルセデスGP)、ロバート・クビカ(ルノー)、フェリペ・マッサ(フェラーリ)、ビタリー・ペトロフ(ルノー)、アロンソというトップ10で、可夢偉が引き続き11番手につけている。
その後はトップ4台が3秒差の中でポジションをキープしていき、中盤以降も上位勢の争いは膠着状態が続いていった。しかし30周目を過ぎると上空がにわかに曇り始め、次第に雨がポツリポツリと降り始める。
40周目、12コーナーで2番手ベッテルがウエーバーの背後につくとサイド・バイ・サイドからオーバーテイクをしかける。しかし両者スペースを譲らなかったため2台は接触してしまい、ベッテルはスピンしてコースオフ。マシンの右リヤ周辺を大きく損傷したベッテルはここでリタイアとなり、マシンを降りると怒りを露わにした。一方のウエーバーはコースオフこそしたものの、なんとかリタイアを免れて3番手でレースに復帰した。
レッドブルの同士討ちによってトップにはハミルトン、2番手にもバトンが浮上してマクラーレンがここで1-2態勢を築く。その後ハミルトンは自らのミスで一旦はバトンに抜かれたものの、直後にポジションを奪い返すとそのままトップでチェッカー。ようやく今季初優勝を遂げ、バトンも2位でフィニッシュしてマクラーレンが今季2度目の1-2フィニッシュを達成。ウエーバーも接触の後にタイヤとノーズを交換するため一度ピットに入ったが、それまでのリードを活かして3位表彰台を守った。4位シューマッハー、5位ロズベルグ。
ザウバーの可夢偉は終盤スーティルにパスされて11番手にポジションを落としたが、8番手走行のペトロフがアロンソとの接触でピットインしたために再度10番手に復帰。残り数周もチームメイトのペドロ・デ・ラ・ロサから激しいプレッシャーを受けたが、我慢の走りを続けて10位でフィニッシュ。ようやく念願のシーズン初ポイントを手にした。