いよいよ次戦に迫ったF1日本グランプリ。今週末鈴鹿を訪れるF1ドライバーの“素顔”はどんなものなのだろうか? このコーナーでは、F1 RACING誌に掲載されている大人気コーナー『質問があるなら直に訊け!』から抜粋。F1ドライバーの素顔を紹介しよう。第11回目は、ウイリアムズのルーベンス・バリチェロだ。
今年の日本GPでF1における300戦出走の記録を成し遂げるバリチェロ(今季ベルギーGPでは300戦エントリーを達成)。もちろん歴代1位だ。今年38歳のバリチェロだが、全く衰えは見えず、予選、決勝共に、23歳のチームメイト、ニコ・ヒュルケンベルグを上まわることが多く、今季はさらに評価を上げている。まだあと15年はレースをやれると断言しているタフなベテラン。正式発表はまだだが、来季ウイリアムズへの残留は決まっていると認めている。
ミハエル・シューマッハーに悪フザケをしたことはありますか?
ルーベンス・バリチェロ(RB):ああ、あるよ。でも根っからドイツ人気質の彼には、私のイタズラは通用しないんだ。いつもシラけて馬鹿をみるんだよ。極めつけはブーブーマシンだね。オナラの音が6種類もあるやつを買って、チャンスを見計らって彼の椅子に仕掛けた。問題は彼の反応さ。何食わぬ顔でリモコンのボタンを押すと、リアルなオナラの音が鳴り響く。ところが彼ときた日には、横を向いて誰がやったんだろうって顔をしているんだから、全く張り合いがない。あれは完全な失敗だったけど、今思い出して笑えるんだから案外、元はとれているのかな。
フェラーリではミハエルの2番手というポジションに甘んじていたわけですが、突然自我に目覚めて、「もう沢山! 彼なんか抜いちまおう」と思ったことはありませんか?
RB:もちろんあるよ。何度もね。正直、いつも思っていた。契約には、私が彼をサポートしなければならないとは書いてないんだ。でも、私がフェラーリに対し「契約書にはないが、やらなければならないことには従う」と言ったのは事実さ。そのことが常に頭にあったから、チームの意に反するようなことはしなかった。考えてもみてくれよ、6年間必死に闘って優勝はたったの9回。チームに逆らってミハエルを抜いていたら、もっと勝てたことは間違いない。でも、そんなことをしたら、フェラーリにはいられなくなっていただろう。扱いがフェアじゃないことに不満を抱いた時期もあるけど、それは仕方のないことさ。
F1で一番仲がいいのは誰ですか?
RB:デイビッド・クルサードは真の友人と呼べるひとり。最近F1で流行りのポーカーをやる時は、クビカ、リウッツィ、フィジケラなんかと一緒。皆いい奴らだよ。仕事以外でツルんだりはしないけど、ジェンソンとも意外と馬が合うんだ。でも一番仲がいいのは、やっぱり同国人のフェリペということになるかな。
引退後の仕事は、チームコンサルタントとTV解説者のどちらがいいですか? それとも本でも書きますか?
RB:本は書きたいと思っているよ。学生の頃は作文が得意だったし、書くことが好きなんだ。私がF1で経験したいくつかの出来事について、皆に説明しておく必要があると思っている。その時何があったのかを私自身の口から説明しなきゃフェアじゃないだろう。誰かへの仕返しなんかじゃないよ。ただ、言うべきことは言わないとね。ともあれ、チームコンサルタントよりTV解説者の方がいいな。チームコンサルタントの役割を考えたら、走っている方がずっと楽チン。コメントするのが好きだというのもあるね。レース中に何が起こっているかを見極める目も持っていると思うし。今でも、解説者が全く見当違いのことを言ったりすると、「オイオイ頼むよ、どこ見てるんだよ!」なんてぼやいたりしてるもの。
表彰台で変なダンスをするのは何故ですか?
RB:変なダンスだって? 失礼な話だなァ。94年のことだけど、表彰台に上がる直前に友達にこう頼まれたんだ。「TVを観ている母国人のために何かやってくれよ。サンバを踊るとか」。それで彼の言うとおりやったってわけ。母国から長年遠く離れていても、私がブラジル人であることに変わりはない。それをあのダンスで表現したつもりなんだけどな。
このインタビューはF1 RACINGの記事から抜粋したものです。
全文はF1 RACING 2008年11月情報号をご覧ください。