フォーミュラ・ニッポン第5戦鈴鹿開催前日の7月10日、ドコモ・ダンディライアンのリチャード・ライアンが、白血病と戦うイギリス人のアレックス・パドルズくんに、鈴鹿サーキットに併設されている「ゆうえんち モートピア」のカートコース「モータースポーツランド」でマンツーマンのカート教室を開いた。

 アレックスくんは12歳。今年5月、白血病治療の一環としてイギリス・ロンドンの自宅を離れて来日。直後に開催されたFニッポン第2戦では、英国大使館の企画にドコモ・ダンディライアンとモビリティランドが協力する形で、ライアンが運転するケイターハム・スーパー7の横で鈴鹿サーキットを体験している。これがもともとレース好きだったアレックスくんの心に火を点け、「今度は自分でも運転したい!」と意欲を見せ、今回の“カート対決”が実現した。

 まず、アレックスくんは弟のウイリアムズくん(10歳)とともにショートコースで練習。カートは初体験ということもあって、当初はアレックスくんも恐る恐るといった感じで走っていた。少し慣れてきていよいよペースを上げたところ、タイヤバリアにクラッシュ! しかしアレックスくんは物怖じせず、アクシデントも逆に楽しくて仕方ないといった様子だった。

 さっそく、「最初のコーナーは、もっと外側から大回りでアプローチしたほうがいいよ」とレクチャーするライアン。「アクセルとブレーキは、もっとメリハリを利かせて操作してごらん」とライアンの担当エンジニアであるロブ・アーノット氏。ふたりのアドバイス効果は絶大で、これを皮切りにいきなりタイムを削り始める。最後には、アレックスくんもウイリアムズくんもショートコースの基準タイムである14.0秒を突破し、念願だったロングコースでの走行が許可された。

 また、ライアンも混じってのカート対決も実現した。調子を崩していたのか? アレックスくんの気迫に圧倒されたのか? ライアンもタジタジといった場面が見られた。

「最後は手がしびれちゃったよ」とアレックスくん。「でも、とても楽しかった。プロのレーシングドライバーはこれまで遠い存在だったけれど、カートを体験したことで少し近づけたような気がする。リチャード選手も週末のレースに向けて、いい練習になったんじゃない? 僕の夢はレースエンジニアになることだけれど、いまはレーシングドライバーになるという夢も持っている。まだ、それぞれ50%と50%の気持ち。もう少しカートを乗ったら、変わってくるかもしれないけれどね」

「このイベントに参加できて最高だ。僕も楽しかった」とライアン。「“レースに向けていい練習になったんじゃないか”ってアレックスくんが言っていた? うん、たしかにいいウォーミングアップになった。週末のレースでは、ちゃんとその成果を発揮しなくちゃいけないな。5月の同乗走行に続いて、今回のカート対決が実現したことは嬉しく思う。白血病の治療は精神的にも肉体的にもつらいものだ。でも、アレックスくんはまだ12歳なのに異国の地でその困難に立ち向かっている。驚くべきことだ。僕が彼に勇気を与えたというよりも、彼が僕に勇気をくれたと言ってもいいんじゃないかな」

 アレックスくんは8月にいったん帰国。イギリスで次の段階の治療を受け、秋には再び来日する予定である。

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