フォーミュラ・ニッポンに参戦するドライバーで構成されるフォーミュラ・レーシング・ドライバー・アソシエーション（FRDA）は、2010年全日本フォーミュラ・ニッポン統一規則第24条8.にあたる、通称“5分間ルール”の撤廃を最終戦に向けて要求していくこととなった。

　この“5分間ルール”は、全日本選手権フォーミュラ・ニッポン統一規則に記載されているもので、『公式予選中に連続した5分間、黄旗もしくは赤旗の提示がなかった場合、当該セッションの終了時間は延長されない。上記5分間の確保ができなかった場合に限り、当該セッションの終了時刻は、5分延長される』という内容。つまり、5分間赤旗無しでセッションが推移していた場合、その後赤旗が提示されればセッションはその場で終了となるものだ。

　今回のフォーミュラ・ニッポンオートポリス戦の予選Q3でアンドレ・ロッテラー（PETRONAS TOM'S）が最速ラップを出した後にスピンを喫し、その車両回収のために赤旗が提示され、そのまま予選は終了。ほとんどのドライバーがアタックをすることができず、この“5分間ルール”が適用された末、ロッテラーがポールを獲得（その後ペナルティで降格）する結果となった。

　予選後にこの問題は大いに紛糾し、ドライバーズブリーフィングの後、FRDAに参加するフォーミュラ・ニッポン参戦選手がタイトル争いをしているドライバーたちからの要望で自発的にミーティングを開催。激しい議論は20時30分頃まで続くこととなった。

　ミーティングでは「もう一度Q3をやり直して欲しい」という意見もほぼ全員から挙がったが、それはルールとして実際に予選を行ってしまったため実現はできず。一方で、今回の例を「最終戦で誰かがわざとやったらどうするんだ」という声も挙がり、“5分間ルール”の撤廃に向け、FRDAとして要望書をJRP、JAFモータースポーツ部に向け提出することとなった。

　本来ルールの改正には、最終戦に向けて時間は無いとのことだが、FRDAとしては「ローカルルールでもいいので、なんらかの形で実現して欲しい。せっかく白熱しているタイトル争いの中で、このような形で予選が終了してタイトル争いが左右されることは自分たちにとってもファンにとっても本意ではない」という意志の下、ドライバー全員の署名、オーナーの署名を集めるという。

　この話題については、ドライバーズブリーフィングでも毎回議題に上がっており、以前スポーツランドSUGOで本山哲がコースオフ、そのままポールポジションとなった例もあるなど、以前から改正に向けてドライバーから声が挙がっていたという。

　運営側からは、10分間のQ3の中で「では最初から走れば良い」という意見も言われるというが、FRDA会長の石浦宏明（Team LeMans）は「実際コースコンディションも変わるし、やっている側からすればあのタイミングでアタックに出るのは当たり前のこと。『ルールを作る側の人たちには理解してもらえていないんだ』と思いそのまま来ていましたが、やはりチャンピオン争いがかかっている中で、このままではいけない」と語る。

「FRDAとしては、このままいくのは絶対に良くないと思っています。今回見に来たファンの方は絶対面白くない予選だったと思うし、実際にそういう意見を伺っています。（不満を表明する手段として）ボイコットという意見も出ましたが、それではお客さんのためにはならない。実は、ルールの改正はこのタイミングではできないと先程言われてしまったんですが、誰かが動けばできないことなんて無いと思う。オーナーも今回の事件は納得していないそうなんで、賛成してくれると思います」と石浦。

「外国人ドライバーたちは、不公平が良くないと言っています。僕たちも同様に、今回アンドレの順位を下げて欲しい訳じゃないんです。『スピンして順位が下げられてしまうのではアタックなんてできない』とJP（デ・オリベイラ）も言っていますしね。ただ、今回ペナルティが出てアンドレの順位が下がっても、アタックできなかったドライバーたちの前にいるし、とにかくこのルールが良くないんじゃないかと思うんです」

　土曜の予選日遅くまで続けられたミーティングの結果、FRDAでは急遽要望書を作成し、オートポリス戦の決勝日にドライバー、オーナーの署名を集め、最終戦における5分間ルールの撤廃を要求する予定だ。