最終的に不問に付されたメルセデスAMGのタイヤ問題。レース審議委員会の直後にメルセデスAMGが開いた会見で、トト・ウォルフ(エグゼクティブディレクター/ビジネス)は、タイヤの内圧をピレリが規定した数値より低くすることで、アドバンテージを得ようとしたことを否定した。

 レース審議委員会の調査報告書には、「メルセデスはタイヤを装着した時点でタイヤ内圧を適切に設定していたと説明。その後、内圧が下がったのはタイヤブランケットが電源に接続されていなかったためだと結論付けた。

 しかし、筆者がスターティンググリッドで13時51分にロズベルグの右フロントタイヤを偶然撮った写真には「19.9psi(ポンド/平方インチ)」という数値がゲージの液晶パネルにハッキリと映っている。測定しているのはメルセデスAMGのメカニックで、その傍らにはピレリのエンジニアが立って、その作業を見ている。これはメルセデスAMGもピレリも、スタート前に内圧が低かったことを認識していた証拠である。

 イタリアGPでは当初、ベルギーGPの内圧よりも高くすることが決定され、当初フロントは2psi、リヤは2.5psi上げることになっていたが、その後、さらに修正が施され、前後ともにベルギーGP時より1psiずつ上げることで落ち着いた。

 ベルギーGPではフロントが20psiでリアが18.5psiだったので、今回のイタリアGPではフロントは21psi、リヤは19.5psiになったのである。つまり、ロズベルグのフロントは21psiでなければならないのだが、メルセデスAMGはこれを守らず、結果的に「1.1psi」低い内圧でロズベルグを走らせていたことになり、FIAが報告した数値と同じとなる。

 問題となったタイヤは左リヤだが、内圧はフロントだろうがリヤだろうが、あるいは左も右も関係ない。もしかしたら、この数値を見てから、彼らが内圧を高く設定したということも考えられなくはない。しかしウォルフは、「ピレリと一緒に内圧を確認したときは、最小値を上回っていた」と言っており、彼らが測定したときには、下回った数値はなかったことになる。これは写真の事実と、明らかに異なる。

 レース審議委員会は、さらにこんな説明もしている。
「レース審議委員は、タイヤメーカーの監督のもと、タイヤの安全な運用に向けてチームが現在規定された手順通りに行っていたことを認めており、それゆえ競技委員会は、この件については不問に付すこととした」

 それはあたかも、ピレリのスタッフがいながら、違反を犯したメルセデスAMGにペナルティを与えることは避けたかったのではないかとさえ思えてくる。

 ベルギーGPといい、イタリアGPといい、もう少し透明性のある説明をピレリにも、FIAにも行ってもらいたい。

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