ハンガリーGP決勝日の朝、君が代がサーキットに響き渡った。土曜日のGP2決勝レース1で8位に入り、上位がリバースグリッドとなるレース2のポールポジションという絶好のチャンスをつかんだ松下信治が、完璧なレース運びでポール・トゥ・ウインを達成し、GP2における自身初優勝を果たした。

 朝から雲が空を覆った日曜日は、気温20度、路面温度31度と前日に比べて10度以上低いコンディション。全車がプライムタイヤ(ミディアム)で走り切るレース2では、タイヤを最後まで保たせることが最も重要な課題となる。

 松下はスタートで好加速を見せて首位を守った。2番グリッドのラファエル・マルチェッロが大きく出遅れたため、2番手にはストフェル・バンドーン、3番手にセルゲイ・シロトキンが浮上してきた。序盤はバンドーンが松下の背後に迫り、4周目にDRSが使用可能になるとターン1やターン2で仕掛けるそぶりを見せたが、松下は動じることなくポジションを守った。

「スタートが良かったので、うまくポジションをキープできた。ストフェル(バンドーン)が後ろだったんで、ちょっとイヤだなとは思いましたけど、僕は前がクリアな状態で走れて、そのぶんだけダウンフォースが得られたので良かったですね。不安がないわけではなかったけど、タイヤマネージメントに気をつけて前だけを見ていきました」

 5周目にはバンドーンがファステストラップを狙うため、1.3秒ほどペースを抑えて松下とのギャップを広げた。松下もほぼ同じペースで走り続けて、3秒前後の差をキープ。3番手シロトキン以下、マルチェッロ、リオ・ハリアントがチャンスを窺うが、ハンガロリンクで追い抜きは難しい。

「最初ちょっとだけタイヤをいたわりましたけど、2〜3周目からはプッシュしてストフェルに近づかれないようにしました。あとはペースもほぼ同じか僕のほうが速いくらいだったので、後ろは気にしていなかった」

 レース中盤は各車ともタイヤマネージメントを気にして動きの少ない展開。終盤に入ると、バンドーンは松下を追うどころか3番手シロトキンの攻勢にあい、DRSを使われて防戦一方になった。

 アレクサンダー・ロッシなど一部のドライバーはタイヤのデグラデーションが進んでピットストップを強いられたが、松下は最後までタイヤをもたせて危なげなく28周を走り切り、トップでチェッカー。日本人としては2008年の小林可夢偉以来のGP2メインシリーズ優勝を果たした。バンドーンも「今日のノブは完璧なレースをした」と松下の勝利を讃える。

 ここまで手ごたえをつかみつつも完璧な週末を過ごせなかった松下だが、ようやく結果を手に入れた。すでに次の開催地であるスパ・フランコルシャンはフォーミュラ・ルノーでの練習走行も終えており、後半戦さらに結果を残したいと意気込む。

「この優勝は自信になりました。やっと歯車が噛み合ったんで、ここをターニングポイントにして常に表彰台を狙えるようなレースをしたい。やっぱり予選で常にトップ5に入らないとダメだと思うんで、それを意識してやっていきたいと思います。僕はF1に行きたいんで、そのためにも何度も勝てるようにしたい」

 松下は優勝の15ポイントを獲得して、合計48点でドライバーランキング8位に浮上。ランキング首位を行くバンドーンは194点で2位ハリアントに対してリードを85に伸ばした。残るは4ラウンド、バンドーンの優位は簡単に揺るぎそうもないが、めきめき力を伸ばしてきた松下にも期待したい。

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