2016年からの参戦を予定しているハースF1チームは、9月29日にロマン・グロージャンと契約し、2016年にレースドライバーに起用することを発表した。

 日本GPのレース後、グロージャンに「これからヨーロッパへ帰るの? それとも……」と尋ねたら、「どうだろうね、フフフッ」と笑っていたことから、おそらく日本からアメリカへ直行したのだろう。いずれにしてもグロージャンのハース移籍は9月に入ってから急展開して、シンガポールGP前後に決定した模様だ。ハースが発表会の案内を関係者に知らせたのは、日本GP開幕直前の9月24日だった。

 グロージャン獲得はハースにとっても想定外だったようで、今回の発表会は表彰台10回の経験と実力を兼ね備えたドライバーが心変わりする前に正式発表
してしまおうという思惑も伝わってくる。

 9月22日の「GP直送」で触れたように、当初グロージャンのチームメイトになると思われていたのは、エステバン・グティエレスだった。しかし、すでにハースのふたつめのシート争いからグティエレスは消えているようだ。

 グティエレスはフェラーリのリザーブドライバーとして日本GPに帯同しており、パドックにも姿を見せていた。そこで「9月29日にアメリカへ行くのか」と聞いたところ、「僕は行かない」と言う。「ハースの発表会があるのに?」と問いただすと、グティエレスは「僕には別のプランがある」と明言した。

 これでハースの“セカンドドライバー”が誰になるのか、混沌としてきた。フェラーリとのつながりだけなら、リザーブドライバーのジャン-エリック・ベルニュとも考えられるが、グロージャンのライセンスはフランス国籍。もうひとりフランス人のベルニュを、アメリカのチームが起用するとは考えにくい。ケビン・マグヌッセンやストフェル・バンドーンというマクラーレン系のドライバーは、ハースとフェラーリの関係を考えると疑問符がつく。そこで有力候補として浮上してくるのが、シンガポールGPでマノー・マルシャからデビューを果たしたアメリカ人、アレクサンダー・ロッシの存在だ。

 果たして、ハースのもうひとつのシートには誰が収まるのか。マノー・マルシャは、どうなるのか。グティエレスの「別のプラン」とは何か。2016年のシートをめぐる争いは大詰めを迎えようとしている。

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