2月7日、3日ぶりに晴れ間がのぞいた富士スピードウェイで、スーパーフォーミュラの今季第5戦インジェ戦にスポット参戦を目指す韓国人ドライバー3名が参加して、オーディションが行われた。

 シリーズを統括する日本レースプロモーション(JRP)によれば、このオーディションは5月にサーキットをオープンさせる予定のインジェ・オートピア社の提案で実現したもの。イベント自体のPRや盛り上げを考えれば、サーキット側としては自国のドライバーを8月のレースに参加させたいという意向があり、彼らが推薦するチェ・ヘミン、ジョン・イチョル、キム・ドンウン、ドライバー3名が海を渡ってやってきたということだ。

 そのオーディションのために今回使用されたのは、全日本F3のナショナルクラスで使用されているダラーラF307。このマシンはスーパーフォーミュラのエントラントとしてもお馴染み、全日本F3にも参戦を続けているKCMGの協力で用意されたもの。マシンのサイドには、大きくインジェ・オートピアの文字が描かれていただけでなく、ドライバーたちの名前もしっかりと書き込まれていた。

 そんな今日のオーディションはスポーツ走行の枠を使用して行われたが、通常のスポーツ走行時には考えられないほどピットの中は黒山の人だかり。インジェ・オートピアのキム・ドヒョン常務以下、サーキット運営会社のスタッフが数名来日しただけでなく、韓国のASNであるKARA(コリア・オートモビル・レーシング・アソシエーション)のウー・ヨンスー監督官、さらにはインジェ・オートピアが招待する形で、5社の韓国メディアも来日していたのだ。その中には韓国の大手紙、モータースポーツ専門誌のGPコリアなども含まれていた。

 それらの記者に聞いたところ、韓国ではモータースポーツはまだまだメジャースポーツではないとのこと。F1が開催されるようになってから少しずつ人気は出てきているというものの、これからというのが実情。また韓国ではフォーミュラカーレースの国内選手権がなく、今はツーリングカーレースが主体。韓国自動車メーカーも、今のところはあまりモータースポーツ、特にフォーミュラカーには熱心なバックアップを行っていないという。

 しかし、将来的に自国のF1ドライバーを輩出したいというのは、韓国のレース関係者やサーキット関係者、メディアの面々にとっても共通した願いの様子で、彼らは今回来日したドライバーたちの走りを熱心に見守った。中には、各ドライバーが最初にピットアウトしていく際に、拍手やガッツポーズをする関係者もいたぐらいだ。

 そして肝心のオーディションだが、今日は3人のドライバーがそれぞれ30分間のスポーツ走行枠、1枠を使って実施。いずれもニュータイヤでスタートした。しかし、走行時間枠ごとにコンディションが違っており、単純にタイムだけでは比較できないという状況だった。

 また3人のうち、2名は富士での走行経験があったものの、1名は未経験であるなど、条件が異なっている。ただし、F3のトップドライバーたちと比べるとまだまだタイムは速いとは言えず、走行後には“首がキツかった"と白状する選手も。このあたりは、多くのフォーミュラカーカテゴリーによってピラミッドが完成している日本とは違う環境で走っているドライバーたちのツラいところ。自国ではフォーミュラを経験できず、走ろうと思えば大枚をはたいて海外に行くしかないのだから。

 とは言うものの、今回参加したドライバーたちは、夢に向かって一生懸命。3名の中から、スポット参戦するドライバーが最終的に選ばれるかどうかはまだ分からないということだが、彼らは初々しい印象を残して日本を後にした。

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