カルロス・サインツJr.の発言が、けっこうな波紋を呼んでいる。3日目のテスト終了後、「今走ってるのは、去年のマシンと今年のパーツのミックスだ」と、あたかも旧車でテストしてるかのようなコメントをしたのだ。しかしトロロッソの公式発表は、「新車STR11を1回目テストから投入」である。

 これでは訳がわからないので、フランツ・トスト代表を直撃した。小走りにガレージに向かうのが見えたので、駆け寄って「サインツが昨日、『旧車で走ってる』って言ってたのはホントですか?」と声をかけた。するとパタッと立ち止まって「そうなんだよ。まったく、困ってる」と、まくし立て始めた。

「技術陣が奮闘して、期限までにきっちり新車を完成させ、初日から新車を走らせてる。それはカルロスも十分承知してるはずなのに、いったい何を考えてあんな発言をしたんだか」

 普段のトスト代表は、ニコニコ顔の温和な人物である。もちろん彼の口から、ドライバー批判など訊いたことがない。それがこの時ばかりは、控えめに言っても相当怒ってるように見えた。

「確かに昨日は、去年のフロントウィングを付けてたけどね。でもそれはあくまで、比較のためだったし」
「新車の出来に、不満があるんじゃないですか」と、あえて怒りに火を注ぐ僕。予想通り、目をむくトスト代表。
「昨日は全ドライバー中、断トツの161周も走れたんだよ。それで不満なはずがないじゃないか」
 言いたいことはまだいくらでもありそうだったが、これ以上のドライバー批判はまずいと気付いたのか、はっと我に返ると、そそくさとガレージへと向かったのだった。

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