FIA世界ツーリングカー選手権(WTCC)に参戦するホンダは、2月24日から3日間、フランスのポールリカール・サーキットで3回目となる新型シビックWTCCのテストを実施した。
テストでは、前回のバルセロナからサスペンションや空力などが改良を受けたほか、エンジンもよりパワフルになったニュースペックのものが持ちこまれた。
しかし2日目と3日目が雨に見舞われたため、ウエットコンディションのセッティング作業などに対し、ドライでは予定がの走行ができなかった。それでも新スペックのエンジンは仕上がりも順調で、ドライバーからは高い評価。ドライバビリティにも問題はなく、今後はパフォーマンスを追求するためのセッティングが課題となった。
「エンジンは新たなスペックのものを投入し、予定通りのパワーアップやドライバビリティの向上が確認された」と語るのは、開発プロジェクトリーダーの堀内大資氏だ。
「しかし、低気温(大半が雨と10℃以下のコンディション)であったこともあり、予想以上のパワーが出て、車体側が追いつかないという面も出ている。マシン全体のポテンシャルが高くなったことで、ドライバーからはさらにアグレッシブなブーストの立ち上がりやギアレシオに対するリクエストもあった。これらは車体の仕上がりに合わせて、マシンをより速くできるよう、今後調整したいと思う」
また堀内氏は、当初から指摘されていた車体側のメカニカルグリップ不足もメカニックの懸命の作業により、最終日の夕方には初日より約3秒のタイムアップを果たしたと述べ、さらにテストで一緒だったシトロエンの完成度を評価するコメントを残している。
「車体はすべてが新しくなったこともあり、まだまだ改良しなければならないポイントがある。しかし、今回のテスト中にサスペンション、空力、重量バランスなどさまざまな改善を行った成果は確実に出た。1日目のタイムを最終日には3秒程上回ることができたことはすばらしいことで、3日間ほとんど寝ずに作業を行ったスタッフの努力のおかげだと思う」
「今回のテストではシトロエンの2台が一緒だった。シトロエンのマシンは完成度が高いように見え、ラップタイムとしても安定して速く走っていた。シビックWTCCも最終的にはほぼ同じくらいのラップタイムを出せたので、まずはひと安心という感じ。次回のバレンシアでのテストには、シボレーやラーダなども集まるので、そこでおよそのレベルなどが分かると思うが、たぶんマシンとしては実力伯仲となり、かなり激しいレースになると思う。3月3・4日にFIAのホモロゲーション査察がある。これによってマシンのスペックはある程度確定するが、それ以降もできる限りの開発を続け、より戦闘力の高いマシンに仕上げていく予定だ」
ホンダはこの後、3月19日からバレンシアで行われる合同テストに参加する予定だ。