「今、可夢偉はどんな調子?」(セルジオ・ペレス)

 2012年イタリアGP以来、2シーズンぶりの表彰台を獲得したセルジオ・ペレス(フォース・インディア)。しかし、レース後にチームのホスピタリティハウスで行われた会見には、ペレスの地元メディアは1人もいなかった。逆にその会見には私を含め、日本人メディアが2人も参加していた。会見後、私はフォース・インディアの松崎淳(タイヤ&ビークルサイエンス部門シニアエンジニア)を取材。しばらくすると、ペレスがこちらにやってきて、「日本人同士のロングインタビューだね」と、冗談を言った。

 私はそのとき、F1という世界最高峰のレースで表彰台を獲得したにも関わらず、母国のメディアがひとりもいない状況に、ペレスが少し寂しい思いをしていたのではないだろうかと感じた。そして、ペレスはこう言った。「今、可夢偉はどんな調子?」。

 実はペレスは会見で、昨年1年間苦労したこと、マクラーレンのシートは失ったが、自分はまだやれるということを証明できたことが嬉しいと語っていた。そして、その自信を与えてくれたのは昨年のマクラーレンではなく、2年前のザウバーでの3度の表彰台であり、その時のチームメートだった可夢偉の存在を、ペレスは今も忘れていないのだろうと私は思った。

「可夢偉はレース後、とても満足していたよ。今週末、初めてトラブルフリーでレースができたからって」と言うと、ペレスも「それは良かった」と笑った。

 ペレス以外にも、母国のメディアがほとんどいないドライバーというのは実は多い。ダニエル・リカルド(レッドブル)の母国オーストラリアからは、マーク・ウェーバーがいた時代も含め、ほとんど来ていない。またキミ・ライコネン(フェラーリ)とバルテリ・ボッタス(ウイリアムズ)の出身地であるフィンランド・メディアもバーレーンには来ていなかった。逆に日本のメディアは最近少なくなってきたとはいえ、バーレーンには7人もいた。

 メキシコ人の代わりは務まらないが、日本人ドライバー以外の話を少しでも日本の読者に伝えたいと思った、バーレーンの夜だった。

■GP直送:
日本人F1ジャーナリストの尾張正博氏がグランプリの現場から、ドライバーやチーム首脳の生の声、パドックを賑わせているニュースの真相、レースのキーポイントやサイドストーリーなどを自身の取材情報からお届けする。2013年はGPインサイドとしてお届けしていた

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