マクラーレン・ホンダは、オーストリアGPに先日クラッシュテストに合格した新しいノーズを投入。今回用意されるのは、ひとつだけでフェルナンド・アロンソが使うとチーム関係者が認めている。
ただし木曜日の時点で、新ノーズを確認することはできなかった。
「新しいノーズがサーキットに到着するのは夜の7時半だと聞いている。だから今晩(木曜日の夜)は少し遅くなるだろう」
通常チームはグランプリで走らせるマシンを木曜日の夕方までに組み上げ、イニシャルのセットアップを施した状態にして、自分たちで車検室に運び、計測と重量チェックを済ませる。つまり、金曜日の午前10時からスタートするフリー走行1回目へ向けて準備を整えた状態にして、木曜日の作業が終了する。
したがって夕方までに準備を終えれば、スタッフは明日に備えてサーキットを後にする。木曜日の午後8時の時点で、レッドブルリンクのピットに並ぶマシンは1台を残してシートがかけられ、ガレージのシャッターも閉められていた。1台だけ作業が続いていたのが、アロンソのマシンだった。
アロンソのマシンだけ作業が終わらなかったのは、もうひとつ理由がある。パワーユニットの交換だ。これについては、木曜日の公式会見でアロンソ自身が「今週末は僕らにとって厳しいものになる。さらなるペナルティによって、後方グリッドからスタートしなければならないからだ」と認めた。
レギュレーションで定められているパワーユニットの年間使用基数は4基まで。6つのコンポーネントのうち、ひとつ5基目を使用するときは10グリッド降格となる。さらに別のコンポーネントで5基目を使用すると5グリッド降格。そうなると5基目を投入する場合は、複数のコンポーネントを同時に交換したほうがデメリットは少ないと考えられる。
今回ホンダは何を変えてくるのか。アロンソが、すでに4基使用しているコンポーネントはICE、ターボチャージャー、MGU-Hの3つ。カナダGP決勝でトラブルの原因になったと考えられるICEなら、アロンソと同時にジェンソン・バトンも交換しなくてはならないはず。チームは今週末「バトンのパワーユニットを交換することも検討中」としているが、現時点では未定。
これらの状況から考えると、ICEに関しては信頼性向上を目的とした改善にとどめ、アロンソはカナダGPでのバトンと同じようにターボチャージャーとMGU-Hの5基目を投入する可能性が高い。
アップデートパーツの到着予定から2時間が過ぎようとしている午後9時すぎのレッドブルリンク。依然マクラーレン・ホンダのガレージだけに照明がともり、作業が続けられていた。