最終戦アブダビGPは、マクラーレン・ホンダが今シーズン一番Q3に近づいた予選だった。

 予選12位のジェンソン・バトンがQ2で記録したタイムは1分42秒668。Q2を10位で通過したカルロス・サインツJr.のタイムは1分42秒482。予選12位という成績はモナコGP(バトン)、シンガポールGP(フェルナンド・アロンソ)と並ぶ、今季ベスト。Q3進出となるトップ10とのタイム差はモナコGPの0.094秒差には及ばなかったものの、わずか0.186秒だった。それ以上に、マクラーレン・ホンダのスタッフが落胆しているのは今季初めてQ3へと進出できる手ごたえを感じていたからだ。

「フリー走行1回目からフェルナンドのクルマが、いい感触だったので今回は手ごたえがあった。初日ペースが上がらなかったジェンソンも、初日のフリー走行のデータを見て、金曜の夜に変更したセッティングが決まってタイムが出たので、ふたりとも喜んでいた。それで『かなり行ける』という手ごたえを持って予選に送り出した。実際Q1の途中まではチーム全体として、そういう感触を得られていた」とホンダの新井康久F1総責任者は言う。

 ところが、Q1最後のアタックを行っていたアロンソに不運が襲いかかる。1本目のバックストレートを終え、2本目のロングストレートへ向かうシケインの途中に、他車から落下したと思われるデブリ(破片)が落ちており、それをアロンソが踏んでしまったのである。

「まさか、あんなデブリが落ちているとは……。クルマにも当たった衝撃の跡がつくくらい。ちょっとズレていれば何事もなかったんですが……」

 2本目のロングストレートを全開で抜けていった直後、ふたつめのシケインでアロンソの左リヤタイヤの空気が抜け、コーナリング中にリヤが流れたアロンソは、無線で『ああ、パンクチャー!』と叫んだ。

「フェルナンドは調子がいいときは何も入ってこないし、アタック中だったので普通は無線なんか使わないから、無線のスイッチが入る音がジーと流れてきたときは何かあったんだなと悪い予感がした」

 そう語る新井総責任者をはじめ、ガレージで無線を聞いたスタッフは、みんなガックリと肩を落としていたという。

「だってセクター2までは自己ベストを出していたので、あのまま何事も起きなければQ1は楽に突破できていたでしょう。そして、ここまでの勢いで行けば、今年初めてQ3に届くかなあという感じもあった。それだけに我々にとっては、かなり残念な結果です。でもレースにタラレバはないし、これもレース。結果は結果です」

 そう言って今シーズン最後の予選を振り返った新井総責任者。決勝ではアクシデントに巻き込まれず、現在の力を出し切ることを願いたい。

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