タイヤから見たドイツグランプリ
新型ハードコンパウンドがフリー走行でデビュー予定
2012年7月20-22日ホッケンハイム
グランプリ概要:
ピレリの最新型P Zeroシルバー・ハードタイヤは、シルバーストンのフリー走行でデビューを予定していました。しかし、ブリティッシュウェザーによって実現できなかったため、この新型ハードタイヤはドイツへ持ち込まれ、金曜日のフリー走行でテストされる予定です。各ドライバーには、ドイツで選択されているP Zeroホワイト・ミディアムコンパウンドとP Zeroイエロー・ソフトコンパウンドによる通常のアロケーション11セットに加えて、2セットの新型ハードコンパウンドが供給されます。ドイツグランプリの開催地としてニュルブリクリンクから変更されたホッケンハイムは、バーレーンやアメリカとともに、今シーズン、ピレリにとって初めてである3つのサーキットのひとつです。
ピレリは、2010年からサプライヤーを務めるGP3シリーズで、このサーキットを経験していますが、Formula One用P Zeroタイヤは、未だこのトラックを走行していません。しかし、コンピュータ・シミュレーションと数学的モデリング技術によって、ピレリのエンジニアたちは、今週末直面する可能性がある状況に対して万全の準備を整えています。かつては世界の最速サーキットのひとつであったホッケンハイムは、現在では、何本かの長いストレートと低速でテクニカルなスタジアムセクションの組み合わせが、その特徴となっています。このため、汎用性の高いセットアップが求められ、タイヤもまた、非常に広範囲のスピードとコンディションに対応しなければなりません。全ての低・中速コーナーから抜け出す良いトラクションを得ることが、速いラップを刻むための鍵となり、この点において、タイヤは重要な役割を果たします。また、多くのヘビーブレーキングエリアがあり、タイヤは、5Gに至る減速Gを吸収しなければなりません。
ピレリ・モータースポーツ・ダイレクターポール・ヘンベリーのコメント:
「ウェットだったシルバーストンの後、我々は、ここホッケンハイムのフリー走行で、ドライバーたちが試験的ハードコンパウンドをテストできることを期待しています。しかし、この時期のドイツの気候もイギリス同様、予測が難しいのです。過去には非常に暑いコンディションもありましたが、2年前のGP3シリーズでは大雨も経験しています。新型ハードタイヤは、大きな進化ではありませんが、作動領域がわずかに広範囲になっているため、各チームにとって、タイヤを正しい作動温度領域に入れ、維持することが容易になっています。現在のチャンピオンシップ争いが非常にバランスの取れたものになっているため、この新型ハードを使用するのは金曜日のフリー走行のみです。現在、各チームが理解し、その性能を最大限に引き出す努力を行っているタイヤの基礎的なパラメータのひとつを突然変更することは、フェアではないと考えるためです。しかし、我々は、ドライバーたちとの生産的な話し合いを楽しんでいますし、大勢を占める要望を常に考慮に入れています。新型タイヤについての彼らからのフィードバックは、間違いなく興味深いものになるでしょうし、我々がプライベートテストから引き出した結論と彼らのインプレッションがマッチするものかどうか、検証してみたいと思います。経験の無いサーキットを訪れる際は、我々自身の過去データが無いため、常に様々なチャレンジが存在します。しかし、シミュレーションの進歩には目を見張るものがあります。今日では、走行したことのないサーキットでも、タイヤ動作の情報を得ることが出来るのです。これらの先進的なモデリング技術は、我々のFormula Oneへの参画が、日常の乗用車用タイヤの改善へ貢献している一例を示しています」
ピレリ・テストドライバーのコメントルーカス・ディ・グラッシ:
「僕のホッケンハイムの思い出は、良いものと悪いものと両方だ。2005年のFormula 3で、レース人生で最大の事故に遭遇した。他のマシンのホイールにぶつかり、マシンから投げ出され、フェンスを越えて地面に叩きつけられたんだ。でも、GP2では、ここで2回表彰台に上がっている。昔のホッケンハイムと違って、現在のサーキットは、タイヤをハードにプッシュする何か特別な単一の特徴ではなく、いくつかの要素の組み合わせによるチャレンジがある。それらは、タイヤに大きな負荷をかけるいくつかのヘビーブレーキングエリアや、横方向のグリップに大きく依存するスタジアムセクションだ。タイヤが摩耗し始めると、ここではアンダーステアになりやすい。でも最も重要な要素は、トラクションだと思う。もちろん、気温にも影響を受けるし、ホッケンハイムでは何でもあり得る。ドライバーたちが試験型タイヤをどう思うかとても興味深い。僕も開発に携わったからね。残念ながら、ドイツではハードタイヤが選択されていないから、現行ハードとの比較はできないけど、僕は、ドライバーたちが新型タイヤを気に入ると思う。特に、温度が低い状態でも、このタイヤはベターなトラクションを提供してくれるよ。」
テクニカルノート:
・タイヤの性能と耐久性のバランスを取る適正なセットアップを見つけることが、ホッケンハイムでは極めて重要である。常にトラクションが求められ、比較的リアのダウンフォースが大きいため、気温が高くなれば、特にリアタイヤのデグラデーションが大きくなりやすい。
・ターン6では、マシンは、わずか2.5秒で325km/hから65km/hまで減速する。この時、大半の負荷は、ブレーキングとターンインを同時に行わなければならないフロントタイヤにかかる。ヘビーブレーキングの荷重移動は、マシンのリアを不安定に感じさせ、サーキットのバンピーさを強調させる。
・ストレートでのトップスピードを維持するため、マシンのダウンフォースレベルは、中程度もしくは低いものとなる。空力セットアップは、カナダとさほど変わらない。しかし、このセットアップは、低速のツイスティなセクションでのグリップに欠ける。マシンのスライドが頻発すると、トラック路面との摩擦によってタイヤの摩耗が激しくなる。
