リーヒマキには元トヨタWRCドライバーのユホ・ハンニネンがコーチ役で帯同していたが、貴元の戦いぶりを見たハンニネンは「タカ(貴元)はWRカーをちゃんと乗りこなしていた。じつに見事だったと思う」と、合格印を押した。

「フッツネン選手と戦って勝つことができたのは、やはり自信になりました。実際にWRカーでWRCに出てみないと本当のトップのレベルは分からないですが、少なくとも間違った方向には向かっていないという確認はできました」と貴元。

「乗れば乗っただけ自分が成長していく感覚が得られ、ヤリスWRCの動きをつかみつつあるように感じます。WRカーで走っている選手はみな、とんでもなく速く、実力も拮抗しています。そこで戦うためには、クルマを手に取るように完全に扱えて、そのうえでプッシュするところまで自分を持っていかなければならない」

「その領域にはまだ遠いですが、確実に近づいているという感触はあります。ドライビングの引き出しも、テスト1日というより、ステージを1回走るごとに増えていっているし、いろいろなことを吸収できている。とてもいい経験をさせてもらっています」

 昨年、初めてヤリスWRCをテストした後、貴元は「自分が本当に乗れるレベルに達しない限りは、乗るべきではないと思っています」と述べていた。では、現在はどのように考えているのだろうか?

「いまもその気持ちは変わっていません。乗るべきレベルに到達する前に乗っても、ただ危険なだけですから。ただ、以前よりもだいぶ自信がついてきましたし、ようやくラリードライバーになれてきたのかなと思います。そういう意味で、自分のレベルも考慮したうえで、WRカーに乗っても良いのではないかと思えるようになってきました」

「フィンランド選手権に出て勝ったからではなく、乗ったフィーリングに対して自信を持ててきていますし、自分のバックグラウンドであるレースでの経験をフルに使えるカテゴリーだと感じられるようになってからは、不安要素もなくなっていきました。WRカーに乗り、経験を積む段階には来たのかもしれません」

 とはいえ、次のWRCイベントである8月のラリー・フィンランドには、新型となるフォード・フィエスタR5で出場することがすでにアナウンスされている。前出のニュースサイトでリンドストロームは「トルコ以外の数戦で、貴元のためにオプションを用意している」とも述べている。

 それを踏まえて予想をすると、貴元がヤリスWRCで初めて出るWRCイベントは、最短で8月の(第10戦)ドイツか、10月の(第12戦ラリー)GBもしくはスペインではないかと考えられ、マキネンもその推測をとくに否定しなかった。

「ドイツはこれまで出たことも、見たこともないので、もしドイツに出るとなったら、やはりリスクは大きいと思います。GBも出場経験はありません。スペインはこれまで2回出ていますが、いずれもデイ1で消えたので、経験は充分ではないし、しかもシーズン唯一のミックスサーフェスラリーなので、難しいラリーだと思います」

「でも、たとえどんなラリーであろうと、もし出ることが決まったら、割り切って考え、少々スピードが遅くともすべてのステージを走り切って経験を積めば、その後に生きてくるはずです。いつ、どのイベントで乗るチャンスが訪れたとしても、自分のできることを最大限にやるだけです」

 最後に聞いた。「WRカーで戦う準備はできているか?」と。すると、貴元はこう答えた。

「イエス、アイム・レディ!」

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