エアロダイナミクスについては、レギュレーション上どうしてもリヤに対して不足しがちな、フロントのダウンフォースを補うことが主目的だったようだ。言い換えれば、アンダーステア対策といえる。
それがどれくらい効果を発揮しているのかはドライバーのコメントからは不明だが、旧型エアロパッケージのヤリスWRCで高速グラベル中心のサファリに出場した勝田貴元は、総合2位に入った。旧型でも依然高い戦闘力を備えているといえるだろう。
ドライバーに関しては、オジエの盤石ぶりが光るが、サファリでクラッシュする前までは昨季ランキング2位となったエバンスも安定性が高く、着実にポイントを稼いでいた。
20才のカッレ・ロバンペラについては、マシントラブルも少なくなく安定性はイマイチだが、その一部はアグレッシブなドライビングが招いたものである。また、タイヤの摩耗については勝田を含めたトヨタ4選手の中でもっとも厳しく、今後はドライビングの安定性とタイヤマネージメントが成長のカギを握る。
ワークス登録ではないが、勝田は安定性に関しては全ドライバーの中で今年1番だ。6戦連続で総合6位以内に入り、直近の3戦は4位、4位、2位と、リザルトについては申し分ない。この調子を最後まで維持することができれば、来季はワークスの3台目として走っても充分通用するのではないかと思える。勝田にとっては、本来彼がもっとも得意とする高速グラベルラリーの、エストニアとフィンランドが試金石になるだろう。
以上のように、今年トヨタは絶好調であるが、できれば最終戦のラリー・ジャパン(11月11~14日開催)でタイトルを決めてもらいたいところだ。
■採点……【95点】


