ラリー最終日。勝田はグリップ感を補うことを狙って足回りとデフのセッティングを変更した。これによりフィーリングは大きく改善されたといい、総合6番手を争うピエール-ルイ・ルーベ(フォード・プーマ・ラリー1)や若手フランス人のチームメイトであるオット・タナク(フォード・プーマ・ラリー1)のMスポーツ勢と争えるレベルになった。それは最後から2番目のステージとなったSS20で発揮され、今大会ベストとなるステージ5番手タイムをマーク。総合順位でもルーベを抜き6番手に浮上した。

 最終的にはSS21で再逆転を許しわずか0.3秒の差で総合7位フィニッシュとなった勝田は、今回の走りを反省するとともに問題点の洗い出しや27日(木)に予定されているテストなどで改善を図り、1週間後の8月3日(水)に開幕するTGR-WRTにとってのホームラリー、第9戦『ラリー・フィンランド』に良いかたちで入りたいと語った。

「ドライビングを含めていろいろなことを試しながらやっていたものの、徐々に良くはなっていったのですが最後まで劇的には変わりませんでした。自分が居るべきところには辿り着かなかったので、そこが今回の大きな反省点であり、次に向けての改善点だと思っています」

「先週末は本当にピュアなスピードで非常に苦戦してしまったので、フィンランドに向けたテストもそうですけど、チームやエンジニアが今もデータを比較しながら問題点をいろいろと洗い出してくれているところなので、次のラリーまでにすべてしっかりと洗い出して、良い状態でラリー・フィンランドに入りたいと思っています」

 なお、勝田がドライブするトヨタGRヤリス・ラリー1は、ルーベを追っていた土曜日の午後に電気系トラブルに見舞われた。

 SS14の序盤、スタートから3km地点で起きたというこのトラブルは、取材会が開かれた25日(火)時点では原因が突き止められていない。当時の車内ではモニター類がすべてシャットダウンされた状態となり、ステアリングに配置された各種ボタンもまったく機能しなかったという。スイッチ操作でエンジンを切ることもできなかったため、ステージ走破後はエンジンを守るために止むなくストールさせて強制的に止めたと勝田は語った。

 その後もデイ3最後のSS17まで同様の電気系トラブルが続くなか、これに関連してインターコム(インカム)にも不具合が生じ、勝田の声は相棒のアーロン・ジョンストンに届く一方、もっとも重要なコドライバーの声が勝田に届かなくなってしまった。この状況に対処するためSS15ではスタート1分前にジョンストンの提案でヘルメットを交換し、無事に同ステージを走りきることができたと明かした。

ラリー・エストニアとラリー・フィンランドは同じ高速グラベル(未舗装路)ラリーに分類されるが、前者は路面が柔らかく深いわだちができやすい。対して後者は、全体的に固い路面でグリップを得やすい。
ラリー・エストニアとラリー・フィンランドは同じ高速グラベル(未舗装路)ラリーに分類されるが、前者は路面が柔らかく深いわだちができやすい。対して後者は、全体的に固い路面でグリップを得やすいという特徴がある。

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