──フリープラクティスでは、どのようなメニューを担当しましたか?
太田:特別これをやる担当というよりは、セッションごとにチームのセットアップに対して、同じようなメニューをドライバーごとにやっていくことが多いのかなと思います。それに対してのフィードバックをもとに次のセッションでセッティングを変えていく。特別、ドライバーごとに仕事を分けることはしておらず、メインのポイントとなるのは決勝のペースなので、それぞれの選手が周回数も同じ周回数を走れるようにしています。そういう部分は耐久レースの特徴だと思います。
──チームメイトとは、どんなコミュニケーションをとりながら進めているのでしょうか。
太田:ニック(・イェロリー)選手、レンガー(・バン・デル・ザンデ)選手はかなり経験のあるドライバーで、ふたりとも速いですし、いろいろなことを聞きながらやっています。ドライビングで速く走らせるためのというよりは、IMSAのルールだったり、ドライバー交代だったり、特殊な事例や、ピットアウト後の走り方、トラフィックについて、経験がものをいう部分を丁寧に教えてくれます。非常に明るいですし、良い関係を築けています。
一発の速さを求めて走るということはしていないので、同じような状態で比べることはあまりできないし、難しいですけれども、しっかりと比較して、ロガーやオンボードを見ています。お互いの走りに対してためらうことなくこうした方が良いかもねというところを、僕からも言うし、向こうからも言うし、お互いより良くしていこうと同じ方向に向かって進められています。
(アレックス・)パロウ選手については、インディカーであれだけの成績を残していて日本でも速かったので(速いのは当然として)、一番思うのは求心力があるところだと思います。その求心力というのは、何に対してもしっかりとためらいなくコメントすること。こうした方が良い、とすごくはっきり言うという印象です。速さはもちろん速いですが、どういうふうにチームを進めていくかを見ていて、それぞれ3人からいろんな学びや刺激をもらいながらやれています。
■寒い夜にカギとなるウォームアップ
──現状の、レースに向けた課題を教えてください。
太田:比較的トラフィックの対処は問題なく進めていますし、正直思ったよりもうまくいっていると感じています。一番不安視しているのは、ナイトセッションにニュータイヤで出ていった時のウォームアップです。大きなミスをしないこと、慎重に行きながらもタイムを失ってはいけない緊張感の中でうまく走るために、集中してビルドアップしていかなければいけません。
特別ここが足りていないというところは正直ないので、ある程度は自信を持って、ひとりの、チームを支える選手としてやっていきたいなと思います。
──決勝に向け、ライバル勢との相対的な勢力図をどう見ていますか?
太田:勢力図に関しては、速さの点でいうと、BMWがとても速そうだなと感じています。予選結果にそのまま表れていますが、練習からBMWが少し抜けているなという印象です。決勝がどうなるのか分かりませんが、我々は充分戦えるクルマを持っています。現状では少しBMWが速いけれども、充分捉える力とリソースはあるので、まったく心配はしていないです。
──改めて、太田選手が今回のデイトナ24時間レースで目指すもの・目標とするところを教えてください。
太田:事前の自分の想定よりもうまく進んでいますし、クルマのポテンシャルも高くて、充分に優勝が狙えるだけの力が、我々にはあると思っています。
24時間のレースなので、シンプルに速さやペースだけでは語れない難しさがあり、ひとりひとりがミスなく、全員がそれをやっていくことが一番重要だと思います。もちろん速さを見せつつも、IMSA独自のルール、フルコース・イエローで何が起こるかわからないので、その時その時にやれることをしっかりミスなくやることに尽きると思います。
トラフィックも強烈だし、ナイトセッションもあるし、とにかく長いレースなので過酷ですけど、その点を一番意識してやれば、結果は自ずとついてくると思います。
