F1の世界、いやモータースポーツの世界で『もっとも有名なオーバーテイク』のひとつに数えられるであろう、2000年のベルギーGPのワンシーン。スパ・フランコルシャンの象徴とも言えるオー・ルージュからラディヨン、そしてケメル・ストレートを舞台にミカ・ハッキネンが見せた伝説の一幕だ。
タイトルを争う首位ミハエル・シューマッハーを追いかけていたハッキネンはレース終盤、2台の前方に現れた周回遅れのマシンをうまく利用する形で、“スリーワイド”の状態から2台をまとめてパス。このレースの勝利を決めた瞬間は、迫力あるシーンと相まって後世に語り継がれる伝説のオーバーテイクとなった。
このシーンのほぼ“再現”と言ってもいい出来事が、2025年のWEC世界耐久選手権第3戦で起きた。プジョー・トタルエナジーズから94号車プジョー9X8を駆って出場しているロイック・デュバルが、ハイパーカークラスのライバル2台をケメルストレートでまとめてパスしたのである。
