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ル・マン/WEC ニュース

投稿日: 2017.06.14 14:36
更新日: 2017.06.14 14:39

ポルシェワークスドライバーが語るそれぞれのル・マン。「泣く場所を探していた」

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ル・マン/WEC | ポルシェワークスドライバーが語るそれぞれのル・マン。「泣く場所を探していた」

ブレンドン・ハートレー:夜間のワープ

「ル・マンで忘れられない思い出は、2012年の夜間のサルトサーキットでの体験です。シングルシーター出身なので最初のル・マンでは学ぶべきことがたくさんありました。しかし、ほとんどの準備はできていたと感じていましたが、初めての夜間レースに対する準備はしていませんでした」

「その瞬間まで、自分は純粋にフィーリングで運転するドライバーだから、他のドライバーと違って、コースサイドの目印は必要ないと信じていました」

ブレンドン・ハートレー 2号車ポルシェ919ハイブリッド
ブレンドン・ハートレー 2号車ポルシェ919ハイブリッド

「しかし、それは大きな間違いでした。建物、ガードレール、樹木、路面のライン、考えもしなかった遠くの無意味に思えるもののすべてが視界から消えていました。その時初めて、これらの目印に大きく頼っていたことに気付いたのです」

「そして最初の5周は、まったく新しい目印を考慮してサーキットについて学び直しました。その大半は昼間には見られない反射とライトによる高速の点滅でした」

「次に、まったく異なるスピード感覚と、エイペックスで速度を早く落としすぎていることに気付きました。その原因は、ヘッドライトにより狭められた視界に物が出入りする時、車がワープしているように感じられるためでした」

「夜間における最初の5周の走行の後、その状況を受け入れると、気分を自然に高揚させることができるようになりました。それはすばらしい感覚でした」

「夜間の運転は肉体的にハードでなくても、長いスティントとなると精神的にはかなりきつく感じられますが、ル・マンではこのチャレンジを進んで受け入れています。そして早朝の孤独な時間に追加スティントが求められた場合は自ら買って出ます」

ニール・ジャニ:あらゆるチャンスを生かす

「2009年当時はシングルシーターのレースが優先で、F1テストも行っていましたし、将来がどうなるのかよくわかっていませんでした。その年、レベリオンからLMP1ローラ・アストンマーチンのドライバーとして初めてル・マンに出場して、このレースの偉大さに驚かされました」

「ル・マンの魅力は、予測不可能なドラマ性です。このレースは予想外の方向に展開し、ときには最速ではない車が優勝するのを幾度も見てきました。プジョーはアウディより明らかに速いにもかかわらず4台すべてがリタイアした年もありました」

「速いだけでなく、チャンスが到来するまでレースに留まらなくてはなりません。あらゆることが起こる可能性があり、24時間にわたって同じ車がリーダーであることは稀です」

「昨年のレースはそれを明確に示しています。トヨタがゴールの数分前にリタイアしました。トヨタとドライバーにとって、それがいかにつらいことだったかは理解できます」

ニール・ジャニ 1号車ポルシェ919ハイブリッド
ニール・ジャニ 1号車ポルシェ919ハイブリッド

「そしてル・マンを制することがいかに難しいかが改めて証明されました。トヨタとは接戦でした。我々は違う燃料補給の戦略を備えていたので、コース上で争うことはありませんでしたが、シミュレーションの差は常にわずか数秒で抜きつ抜かれつの状態でした」

「ポルシェは数回のフルコースイエローによる不運と2回のパンクに見舞われました。ツキに恵まれたわけではなかったのに、最後には振り子が我々の方に振れました」

「もちろんライバルの不運を望んだわけではありません。物事は常に安定のために振れ戻します。これまでル・マンに8回出場していますが、テクニカルトラブルなしでゴールできたのは3回だけです」

「スタート前にジャッキー・イクスが私に言いました。『ル・マンに優勝することはできない。ル・マンが君を優勝させるのさ』」


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