ル・マン24時間でのアロンソは、8号車TS050の一員として素晴らしい仕事をした。レースは中盤、チームメイトの7号車が8号車をリードしており、アロンソが乗り込んだ時、2台の差は2分以上あった。しかし、アロンソは夜のサルト・サーキットでルーキーとは思えないような走りを披露し、7号車よりも1周あたり2~3秒速いペースで周回。
差はどんどんと少なくなっていき、最終的にはアロンソの担当スティントで約40秒差まで縮まった。いろいろな要因があったにせよ、アロンソの快走が、その後の8号車の逆転優勝に繋がったことは事実である。
周回遅れのマシンを抜かす、いわゆるトラフィック処理も非常に巧みだった。8号車のチームメイトである中嶋一貴は「レースがうまいドライバーは、トラフィック処理もうまい」とアロンソを評していたが、実際その通りだった。
WECではさまざなマシンが走っており、それぞれ速いセクションが異なる。つまり抜きどころの見極めがかなり難しいのだが、アロンソは正しい判断と思いきりの良さで、前走車を次々と抜き去っていった。その時のドライビングは非常に切れ味鋭く、F1での全盛期の彼を見ているようだった。
もちろん、ドライバーとしての技量は現在でもトップクラスに違いないが、それでも戦闘力の高いマシンに乗った時の走りはやはりひと味違う。円熟の境地に達したアロンソの、彼本来のドライビングは一見の価値がある。富士6時間レースでは一体どのような走りを見せてくれるのか、今から楽しみで仕方ない。
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