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ル・マン/WEC ニュース

投稿日: 2020.07.30 11:52
更新日: 2020.07.30 11:59

いざGT3レースの“本場”へ。富田竜一郎に聞く初テストと欧州での戦いへの意気込み

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ル・マン/WEC | いざGT3レースの“本場”へ。富田竜一郎に聞く初テストと欧州での戦いへの意気込み

 今季、富田がともに組むことになるケルビン・ファン・デル・リンデは、アウディワークスとして世界各国のGT3カーレースで戦う南アフリカ人ドライバーで、2017年にはニュルブルクリンク24時間を制しており、2019年には鈴鹿10時間でも優勝を飾っている。押しも押されぬGT3レース界のトップドライバーのひとりだ。

「底抜けにいいヤツです(笑)。そして、過去に出会ったチームメイトのなかで、いちばん速いですね。どのポイントも速いし、フィードバックもすごい。アウディのことも良く知っていますし、ドライビングというものが上手いです」と富田はファン・デル・リンデを評した。

 さらに興味深いのが「じつは彼も僕と同じで、フォーミュラを経験していないドライバーなんです」ということ。「もともとフォルクスワーゲン・ルポカップに参戦していて、その賞金を持ち込んでADAC GTマスターズでチャンピオンを獲り(2014年)、そこからアウディと契約しているそうなんです。初めて乗ったフォーミュラカーがフォーミュラEという、かなり珍しいタイプです(笑)」

「だからクルマの動かし方も良く分かっていますし、少しでも僕の方がいいところがあると、それを試してみようともします。すごくドライビングに対して真摯ですね」

 文句のつけようがない体制で、2020年に新たな挑戦を始める富田。今後、第1戦ミサノに出場するためにふたたび渡欧した後、一度帰国して、再度ヨーロッパへ。その後はWRTのファクトリーのそばのホテルを借りて住む予定だという。初めての海外での生活を迎える。

「もちろん難しい挑戦になることは分かっていますが、日本人がヨーロッパで戦うというビハインドをもっていきながら、ある程度は成績を残したいと思っています。その僕の要求に対して、WRTとアウディスポーツがすごくいい体制を用意してくれたので、今まで日本で培ったものを最大限使っていきたいと思います」と富田は意気込みを語った。

「ヨーロッパに日本人がきて、海外メーカーのワークスに近い体制で戦えるのは今まであまりなく、日本のモータースポーツ界にとっても大きな出来事ではないかと思っています。でもそこで僕が失敗してしまうと、後に繋がらなくなってしまう。将来に繋げるためにも、僕が一定以上の成功を収めなければならない。鈴鹿10時間ができて、日本人の目が海外のGTレースに向きはじめた今こそ、こうして挑戦することで、今後の若手ドライバーにも繋がると思っています」

「そして、その目標を成し遂げることで、エンデュランスカップやインターコンチネンタルGTチャレンジでの活動に繋がる可能性が少しでも開ければ嬉しいです。今年は日本での戦いをあきらめてまで行っているので、どうあっても『行って良かったな』と思えるような一年にしたいですね」

 GTワールドチャレンジ・ヨーロッパでは、ブランパンGT時代にニッサンGT-Rで千代勝正がチャンピオンを獲得したほか、濱口弘もスプリントでタイトルという結果を残してきた。しかし富田が言うとおり、日本人が海外メーカーの力が入る、総合優勝争いをするチームで戦ったことは多くない。富田がどんな結果を残してくれるか、大いに楽しみなところだ。

富田がミサノでドライブしたアウディ。本番で使用する31号車と異なり、32号車に乗車した。
富田がミサノでドライブしたアウディ。本番で使用する31号車と異なり、32号車に乗車した。


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