WEC世界耐久選手権に参戦するトヨタGAZOO Racing(TGR)は、6月11〜13日に行なわれる第2戦ポルティマオ8時間レースにおいて更なるライバルを迎え、トヨタの耐久レース参戦史に新たな歴史の1ページを刻む。
ポルトガル・ポルティマオ近郊に位置するアルガルベ・インターナショナル・サーキットで開催されるこのイベントは、トヨタが世界レベルのスポーツカー耐久レースシリーズに参戦を開始して以来、記念すべき100戦目のレースとなる。
1983年の富士1000kmレースでトヨタ・トムス83Cがデビューして以来、トヨタのプロトタイプレーシングカーは、これまで世界耐久選手権を99戦にわたって戦ってきた。
5月1日に行なわれた2021年開幕戦スパ・フランコルシャン6時間レースにおいて、ル・マン・ハイパーカー(LMH)での歴史的勝利を飾ったTGRは、アルピーヌ・エンデュランス・チームに加え、新たなライバルとして今大会に1台が出場するスクーデリア・キャメロン・グリッケンハウスと、ハイパーカー・クラスで競い合うことになる。
開幕戦スパで勝利を挙げた8号車GR010ハイブリッドのセバスチャン・ブエミ/中嶋一貴/ブレンドン・ハートレーはドライバーズランキングで首位につけ、ディフェンディングチャンピオンである7号車GR010ハイブリッドのマイク・コンウェイ/小林可夢偉/ホセ・マリア・ロペスは同3位からタイトル防衛を目指す。
■トヨタの“最多勝男”はセバスチャン・ブエミ
WEC初開催となる今回のポルティマオは、トヨタにとってスポーツカーレースの世界選手権を戦う21カ所目のサーキットとなる。
トヨタが参戦した初レースの1983年富士1000kmレースはポルシェ956を駆るデレック・ベルとステファン・ベロフが制し、トヨタ初のグループC専用車、トヨタ・トムス83Cは星野薫と松本恵二、そして後に日本人初のル・マンウイナーとなる関谷正徳のドライブにより、9位でフィニッシュ。トヨタ・トムス83Cで同レースにエントリーしていたデレック・ダリー、ジェフ・リース、鈴木利男組の車両は練習走行中にクラッシュし決勝には出場できなかった。
その後、トヨタは懸命な努力とチームスピリットにより改善を続け、成績とパフォーマンスが徐々に向上。シリーズフル参戦3年目となる1992年のモンツァで、TS010によって世界耐久選手権で初勝利を達成した。
この初勝利以来、トヨタのチームで世界耐久選手権に最も多く出場し、最多の勝利を挙げているのはブエミで、これまで60戦に出場し、18勝を挙げている。
トヨタはこれまで、99戦にわたる世界耐久選手権への参戦のうち、半数以上の56戦で表彰台に上がり(78回)、31勝を挙げている。チームの目標は来るポルトガルでこの数字をさらに増やすことだ。
ポルティマオでの世界耐久選手権は初開催だが、TGRにとっては親しみ深いサーキットでもある。ポルトガルのアルガルベ地方に位置する全長4.684kmのこのコースでは、ここ数年、チームが定期的に耐久テストを行なってきた。直近では昨年12月、GR010ハイブリッドの初めての耐久テストもここで行なわれた。