8月21~22日に決勝レースが行われた第89回ル・マン24時間レース。WEC世界耐久選手権の2021年シーズン第4戦として行われたこのレースでル・マンデビューを果たしたグリッケンハウス・レーシング(スクーデリア・キャメロン・グリッケンハウス)のジム・グリッケンハウス代表と、ドライバーのルイス・フェリペ[ピポ]・デラーニは、予想よりも短かったフルコースイエロー(FCY)が表彰台を目指したチームの希望を打ち砕いたと語った。
ピポ・モチュール製のエンジンを搭載したノンハイブリッドのル・マン・ハイパーカー(LMH)に星条旗を掲げ、デラーニとフランク・マイルー、オリビエ・プラの708号車と、姉妹車709号車グリッケンハウス007 LMHをフランス、サルト・サーキットでの24時間レースに送りこんだチームは、ル・マン初出場でありがなら総合4位と総合5位でフィニッシュした。
この内4位となった708号車グリッケンハウス007 LMHは、3周目のスタート直後にTOYOTA GAZOO Racingの8号車トヨタGR010ハイブリッドに追突しフロントカウルにダメージを負ったものの、それ以外では3人のドライバーがほぼ完璧な走りをみせ、終盤に3番手を走るアルピーヌ・エルフ・マットミュートの36号車アルピーヌA480・ギブソンに迫った。
しかし、ポディウム・エンジニアリングが主導するチームは、残り4時間半の時点でFCYが出た影響でアルピーヌに挑戦するチャンスを失った。彼らはマイルーのドライブ中に燃料節約モードに入るまではフランスチームを射程に捉えていいたのだ。
「FCYが出たタイミングは本当にアンラッキーだった」とデラーニはSportscar365に語った。
「僕たちはギャンブルをした。FCYはある程度長引く思っていたのだけど、予想よりも早くグリーンになってしまった」
「(FCYの解除後)僕たちのクルマはフルラップをしなければいけなかったが、もう燃料がなかったのでゆっくり走る必要があった。(対アルピーヌで)10秒遅れから1分の遅れになったのはその時だ」
グリッケンハウス氏は次のように付け加えた。「トラックを綺麗するためにFCYが出されたので、我々は(これが長引くと考え)スティントを引っ張った。(だが、早期にグリーンに戻ったため、結果的に)直後の燃料補給のために2分を失ってしまった」
「通常の速度でラップをするのに充分な燃料が残っておらず、非常にゆっくりと走らなけばならなかったんだ。これがなければ、最後まで彼らと戦えていただろう」
「私たちの計算では表彰台を獲得できる可能性もあったのだが、それにはとても長いスティントが必要だったんだ」