5月5日木曜日、フリープラクティス1のセッションで幕を開けたWEC世界耐久選手権の2022年第2戦スパ・フランコルシャン6時間レース。開幕戦のアメリカからベルギーへと移り、“欧州での開幕”を迎えたWECのパドックから、走行初日のトピックスのお届けする。
■新モノコック導入のトヨタと、“元に戻した”アルピーヌ
トヨタGAZOO Racingは、開幕戦セブリングにおけるホセ・マリア・ロペスのクラッシュを受け、7号車GR010ハイブリッドに新しいモノコックを導入したことを明らかにした。
テクニカル・ディレクターのパスカル・バセロンは、「スペアのモノコックがあったが、(それをベースとして)クルマを再び組み上げる必要があった」と述べている。
「いくつかのパーツは助かったが、ほとんどの高価な部品はダメになった」
バセロンはまた、セブリングとスパの間にポルティマオで行われたプライベートテストにおいて走行した7号車GR010ハイブリッドが、テストカーであったことを明らかにしている。
新たなモノコックとなった7号車は、スパのフリープラクティス1がシェイクダウンとなった。
一方、同じくハイパーカークラスにエントリーするアルピーヌ・エルフ・チームは、開幕戦後、スパまでの間にイタリアのモンツァでテストを行ったが、このテストではスパ、およびル・マン24時間で使用するモノコックを走らせていた。
これは昨シーズンはじめに完成した新車で、2021年シーズンを通して使用したものだった。一方で2022年開幕戦に勝利したマシンのモノコックは、以前LMP1のレベリオンR13としてレースに出場していた際のものだという。
■ピポ・デラーニのジンクス
グリッケンハウス・レーシングのピポ・デラーニは、木曜日のフリープラクティス1で、昨年のル・マン24時間レース以来となる、グリッケンハウス007 LMHのステアリングを握った。フランク・マイルー、オリビエ・プラとともにル・マンで4位となって以来、007での走行はしていないと、デラーニはSportscar 365に対し語っている。
なお、デラーニは2015年のWECデビュー以降、スパで5位以下になったことはない。初出場のGドライブ・レーシングではLMP2クラス優勝を果たし、その1年後にはエクストリーム・スピード・モータースポーツでクラス2位入賞。2017年にはアンディ・プリオール/ハリー・ティンクネルのフォードに加わり、GTEプロクラスの4位に入っている。
■路面再舗装のタイヤへの影響
セブリング以降、ミシュランのGTE用タイヤ・オプションにはいくつかの変更があった。GTEプロクラスでは、ポルシェがフェラーリと同じように『ソフト・ホット』コンパウンドに加えて『ミディアム』コンパウンドを選択。
コルベット・レーシングはセブリングで『ミディアム』をチョイスしたが、スパでは2種類のソフトコンパウンドのみを使用することになった。『ソフト・コールド』は、路面温度がおよそ20度以下の場合に適している。
LMGTEアマクラスにおいては、スパでは『ソフト・コールド』のオプションは全チームから外され、『ソフト・ホット』『ミディアム』のみが、スリックコンディション向けに残されている。
ミシュラン・モータースポーツの耐久レースプログラムマネジャーであるピエール・アルベスによると、スパでオフの間に行われた路面の整備は、いくつかの新しいチャレンジになるという。
「スパ・フランコルシャンでは、安全性が向上したラディヨン/オー・ルージュを含む、いくつかの部分で再舗装が行われている」とアルベスは説明している。
「この区間では、リヤタイヤにさらに大きな垂直加重がかかるので、ミシュラン・パイロット・スポーツのケーシングは、大きな試練にさらされることになる」
再舗装はオー・ルージュとラディヨン、そして右に周り込むブリュッセルからプーオンのブレーキング区間までで行われている。