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ル・マン/WEC ニュース

投稿日: 2023.06.11 23:03
更新日: 2023.06.12 15:18

優勝マージン、わずか81秒。大波乱のル・マン100周年記念大会をフェラーリ499Pが制す/決勝24時間後レポート

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ル・マン/WEC | 優勝マージン、わずか81秒。大波乱のル・マン100周年記念大会をフェラーリ499Pが制す/決勝24時間後レポート

 6月10〜11日、フランスのル・マンに位置するサルト・サーキットで、WEC世界耐久選手権第4戦ル・マン24時間レースの決勝が行われ、荒れ模様となったサバイバルレースを、今季からハイパーカークラスに参戦したフェラーリAFコルセの51号車フェラーリ499P(アレッサンドロ・ピエール・グイディ/ジェームス・カラド/アントニオ・ジョヴィナッツィ組)が制した。

 終盤に入るまで10数秒差のトップ争いを繰り広げたトヨタGAZOO Racingの8号車GR010ハイブリッド(セバスチャン・ブエミ/ブレンドン・ハートレー/平川亮)が2位となり、トヨタの6連覇は達成できず。フェラーリと同様今季からハイパーカークラスに参戦するキャデラック・レーシングの2号車キャデラックVシリーズ.Rが3位に入った。

 1923年の第1回開催から100年を数える記念大会となった今戦は、フェラーリ、ポルシェ、キャデラックらが新規参入した最高峰『ハイパーカー』カテゴリーに16台ものエントリーを集め、総合優勝争いが激化。多くの観客が詰め掛けるなか、序盤からクラッシュやアクシデントが続出する波乱の展開となった。

 前半はフェラーリAFコルセのフェラーリ499Pが優位にレースを進めるなか、2度訪れた雨に各陣営は混乱。その後路面が乾いていくなかで、小林可夢偉がドライブするトヨタGAZOO Racingの7号車GR010ハイブリッドが不運な多重クラッシュに見舞われリタイアするなど、波乱の展開が続いていった。

 夜の間もハイパーカー勢の僅差の争いは続き、8号車トヨタが首位に立ち夜明けを迎えたが、デブリによるダメージやスローパンクチャーに見舞われる。これにより51号車フェラーリがトップを奪うと、優勝争いこの2台に絞られていく。

 両者は終盤に入っても10数秒のギャップで息詰まるトップ争いを続け、残り2時間を切ったところで8号車トヨタは平川亮にステアリングを託したが、アルナージュ進入のブレーキングでスピン、マシン前後を壊してタイムロスを喫した。これで首位51号車フェラーリはイージーな展開となり、そのまま大観衆が見守るフィニッシュラインへと逃げ切った。

 全車がオレカ07・ギブソンのパッケージで争うLMP2クラスでは、序盤をリードしたJOTAの28号車が後退。中盤以降を支配したインターユーロポル・コンペティションの34号車(ヤコブ・スミエコウスキー/アルベルト・コスタ/ファビオ・シェーラー)が制した。

 LMGTEアマクラスでは、途中トラブルにも見舞われたコルベット・レーシングの33号車シボレー・コルベットC8.R(ニッキー・キャツバーグ/ベン・キーティング/ニコラ・バローネ)が勝利を飾った。

 途中、クラストップを快走する場面もあったケッセル・レーシングの57号車フェラーリ488 GTE Evo(木村武史/スコット・ハファカー/ダニエル・セラ)はタイヤトラブルからクラッシュを喫し、リタイア。同じくケッセルの74号車フェラーリで参戦したケイ・コッツォリーノ/辻子依旦/横溝直輝組は、LMGTEアマクラス9位でチェッカーを受けた。

 Dステーション・レーシングの777号車アストンマーティン・バンテージAMRは(星野敏/キャスパー・スティーブンソン/藤井誠暢)は、マシントラブルからリタイアを喫している。

8号車トヨタGR010ハイブリッド(トヨタ・ガズー・レーシング) 2023年WEC第4戦ル・マン24時間レース
8号車トヨタGR010ハイブリッド(トヨタ・ガズー・レーシング) 2023年WEC第4戦ル・マン24時間レース
2号車キャデラックVシリーズ.R(キャデラック・レーシング) 2023年WEC第4戦ル・マン24時間レース
2号車キャデラックVシリーズ.R(キャデラック・レーシング) 2023年WEC第4戦ル・マン24時間レース

■再スタートできない!? 好走で築いた1分のリードが消滅

 オープニングラップからクラッシュが発生し、その後も度重なる雨の影響もありアクシデントに次ぐアクシデント、さらにはメカニカルトラブルで脱落するマシンも相次ぐ波乱に満ちた展開となった100周年のル・マン24時間。トップ争いは、予選で速さを見せたフェラーリAFコルセ勢を中心に“王者”トヨタGAZOO Racing勢、そこにニューカマーのキャデラック・レーシング勢やプジョー・トタルエナジーズ94号車が加わり白熱したものに。

 その中でも次第に篩いにかけられ、小林可夢偉組7号車トヨタGR010ハイブリッドが悲運なアクシデントに巻き込まれてリタイア。ポールポジションを獲得した50号車フェラーリ499Pはトラブルで優勝戦線から脱落し、地元の期待を背負ったプジョー9X8は未明のクラッシュで後れを取ってしまった。

 また、キャデラックVシリーズ.R勢はペースの面で51号車フェラーリ499Pと8号車トヨタGR010ハイブリッドに一歩及ばず2号車、3号車ともに徐々にその差を広げられていく。一方、頭ひとつ抜けた2台はピットタイミングを合わせながら一騎打ちの争いを繰り広げ、その中でフェラーリがトヨタからリードを奪い、スタートから18時間のタイミングでは約1分のギャップを築いた。トップと同一ラップに残る2号車キャデラックVシリーズ.Rとのタイム差は3分10秒だ。

 256周目、フェラーリのクルーが固まる事態が発生する。ルーティンのピットに入った51号車が再始動できなかったのだ。大幅なタイムロスの後、なんとか再スタートが切れたフェラーリだったが、同時ピットインしていた8号車にリードを許してしまう。

 ポジションが入れ替わった両者のタイム差は約5秒。ピットアウト直後からジェームス・カラドの51号車がトヨタを攻め立てる。約15分後、カラドがユノディエールでセバスチャン・ブエミ駆る8号車トヨタに並びかけ第2シケインのブレーキングでオーバーテイクに成功した。

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