2023年のWEC世界耐久選手権第6戦富士6時間レースは、9月9日土曜日に60分間のフリープラクティス3(FP3)、そしてクラス別の予選を行い、10日の決勝スターティンググリッドが決定した。予選ではトヨタGAZOO Racingの小林可夢偉が最速ラップをマークし、7号車にポールポジションをもたらしている。
そんな土曜日の富士スピードウェイのパドックから、各種トピックスをお届けしよう。
■“カムイ効果”があった予選
7号車トヨタGR010ハイブリッドのポールポジション獲得タイム、1分27秒794を見た可夢偉は、「ちょっとショックだった」という。「こんなラップタイムが出るとは思っていなかった」と、今季3度目のポールポジションを獲得した可夢偉は語った。
可夢偉とブレンドン・ハートレーの0.624秒差について、トヨタのテクニカルディレクターであるパスカル・バセロンは、「ここ富士での特別な“カムイ効果”によるもの」だと述べた。さらに彼は、ハートレーが8号車のマシンのバランスに完全に満足しているわけではないと付け加えている。
トヨタ7号車はマイク・コンウェイが、8号車はセバスチャン・ブエミが、決勝のオープニングスティントを担当することになっている。
■予選3&4番手獲得に明るいポルシェ
ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツのマネージングディレクターであるジョナサン・ディウグイドは、予選で同じLMDhメーカーのキャデラックとフェラーリ499Pを抑えて3番手と4番手につけたファクトリーチームについて、明るい表情を見せた。
「レースウイークの序盤はさまざまなコンディションに見舞われたが、我々はどのようなコンディションにも強く、今日の予選でもそれを示すことができた」と彼は語った。
ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツは、ウエットタイヤとミディアム・スリックタイヤ(富士で使用可能なスリックタイヤの中でソフト側のタイヤ)のクロスオーバーのタイミングが早いことに「かなり驚いている」という。
「我々は、まだ路面が湿っているか濡れているときにスリックタイヤに履き替えてきた。ラップタイムがどこでクロスオーバーするのか、何度か確認する機会があったのはいいことだった」
「したがって、レース中にそういった状況に対処しなければならない場合には、1~2周以内に解決できることを願っている」
フレデリック・マコウィッキは予選で4番グリッドを獲得したが、その5号車ポルシェ963は金曜フリー走行終了後にハイブリッドシステムのコンポーネントを交換していた。
■ハードコンパウンドを試した陣営
フロイド・ヴァンウォール・レーシング・チームは、ハイパーカークラスで唯一、4輪すべてにミディアムタイヤを使用しなかった。ミシュランによれば、トリスタン・ボティエは4号車ヴァンウォール・バンダーベル680・ギブソンのリヤに、ハードコンパウンドのタイヤを装着して走ったという。そのタイムは1分32秒199で、予選12番手となった。
予選までのフリー走行においては、2号車キャデラックVシリーズ.R、50号車フェラーリ499P、7号車トヨタを含む数台が、単独またはミディアムとの組み合わせで、ハードコンパウンドを試した模様だ。
LMP2クラスでは、ユナイテッド・オートスポーツ22号車のフィル・ハンソンが自身初の、単独ドライバーでのポールポジションを獲得した。彼は2週間前にモーターランド・アラゴンでヨーロピアン・ル・マン・シリーズでも初のポールポジションを獲得している。彼が最後にWECのポールを獲得したのは、2ドライバーの平均タイム方式で行われた2020年のバーレーン戦だった。
■「クレイジーで楽しい」サーキットサファリ
朝のFP3開始前、富士スピードウェイで恒例となっているサーキットサファリが行われた。各チームは最低1台を出走させる義務があったが、アルピーヌを除いたチームでは、複数台がこの時間帯に走行を行った。
ベクター・スポーツ10号車のドライバー、ライアン・カレンは次のように語った。
「サーキット・サファリは素晴らしい経験で、ここ日本のレースを集約したようなものだ。 クレイジーな類のものだけど、同時にとても楽しい」