レースを愛してやまないファンの方々へ
autosport web Premiumが登場。

詳細を見る

投稿日: 2023.10.30 11:55
更新日: 2023.10.30 11:58

TOYOTA GAZOO Racing 2023スーパーフォーミュラ第8戦&第9戦鈴鹿 レースレポート

レースを愛してやまないファンの方々へ
autosport web Premiumが登場。

詳細を見る


スーパーフォーミュラ | TOYOTA GAZOO Racing 2023スーパーフォーミュラ第8戦&第9戦鈴鹿 レースレポート

2023年全日本スーパーフォーミュラ選手権第8&9戦 鈴鹿

宮田莉朋がシリーズチャンピオン獲得!

 スーパーフォーミュラの今季最終大会となる第8戦、第9戦が鈴鹿サーキットで行われ、宮田莉朋(VANTELIN TEAM TOM’S)が第8戦2位、第9戦も3位と連続表彰台を獲得。最終戦まで三つ巴でもつれ込んだタイトル争いを制し、2023年シーズンのシリーズチャンピオンを獲得しました。

 全日本スーパーフォーミュラ選手権の最終大会となる第8,9戦『第22回JAF鈴鹿グランプリ』が10月28日(土)、29日(日)の両日、三重県の鈴鹿サーキットで開催されました。

 全7大会、9レースで競われている2023年シーズンのスーパーフォーミュラも最終大会を迎えました。激戦が続く今シーズンですが、TOYOTA GAZOO Racing(TGR)勢は、第3戦と第5戦での優勝を含む7戦全戦でトップ5フィニッシュを遂げている宮田が、2位と8ポイント、3位と10ポイント差のランキング首位に立っています。

 しかし、今大会の2レースで最大46ポイントが獲得可能なため、タイトル争いは全く予断を許さない状況となっています。宮田にとっては初のチャンピオン獲得、そして他のドライバーはひとつでも上の順位でシーズンを締めくくるべく、最終大会に臨みました。

 最終戦決勝日の29日(日)にはカーボンニュートラル(CN)に向けた開発テスト車両である、ホンダ/M-TEC製エンジンを搭載した『白寅』をインディ500ウィナーの佐藤琢磨氏、トヨタ/TRD製エンジンを搭載した『赤寅』をTGRヨーロッパ副会長の中嶋一貴がドライバーを務めデモランを実施。

 今大会も好評の『アウトオブキッザニア』をはじめ、多くのコンテンツが用意され、2日間で4万3000人ものモータースポーツファンの皆様が集まり、スーパーフォーミュラの迫力に酔いしれました。なお、国本雄資(Kids com Team KCMG)は今大会Rd.8で国内トップフォーミュラ100戦出場を果たしました。

第8戦予選

 今大会は28日(土)に第8戦の予選と決勝、29日(日)に第9戦の予選と決勝が行われるスケジュール。このため27日(金)に公式練習が行われ、28日(土)は朝9時半から第8戦の予選がノックアウト方式で行われました。

 朝から鈴鹿は気持ちよく晴れ渡り、気温17度、路面温度24度のコンディション。Q1は2組に分けて実施され、それぞれ10分間、上位6台がQ2へと進出します。

 A組では坪井翔(P.MU/CERUMO・INGING)とリアム・ローソン(ホンダ)がセクターごとにベストタイムを奪い合う争いとなり、1000分の1秒差で坪井がトップタイムをマーク。

 山下健太(KONDO RACING)が最後に4番手に飛びこみ、坪井と山下の2台がQ2へと進出。国本は8番手、笹原右京(VANTELIN TEAM TOM’S)が9番手、関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)が10番手。大嶋和也(docomo business ROOKIE)は最後アタックに入ろうとするも僅かに間に合わずチェッカーが降られてしまい、11番手に終わりました。

 B組では平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)が2番手、宮田が3番手、小林可夢偉(Kids com Team KCMG)が5番手でQ2へ進出。阪口晴南(P.MU/CERUMO・INGING)は惜しくも7番手、前日の練習走行でクラッシュを喫し、ほぼ練習走行無しでの予選アタックとなった小高一斗(KONDO RACING)は9番手に終わりました。

 Q2では、各車がアタックに入ったタイミングでクラッシュ車両が発生し、セッションは赤旗中断。残り3分で再開され、各車仕切り直して一発アタック合戦となりました。

 最後にアタックに入った宮田が好タイムをマークするもポールには届かず、それでも最前列2番手グリッドを確保。坪井が5番手、平川が6番手で3列目に並び、山下が8番手、小林は9番手から午後の決勝レースに臨むこととなりました。

第8戦決勝

 予選の後、気温21度、路面温度26度のコンディションの下、14時半より31周で行われる決勝レースがスタートしました。

 最前列2番手グリッドの宮田はスタートでやや出遅れ、後方の太田格之進(ホンダ)にかわされ3番手へと後退。しかし、宮田は2周目の1コーナーで太田をアウトから抜き返し、2番手を取り戻しました。

 坪井は5番手をキープ、6番手スタートの平川はひとつポジションを落とし7番手、小林は山下をかわし8番手、山下は10番手へ後退。阪口は13番手キープ、その後方では20番手グリッドの関口が一気に14番手へと6台パスのジャンプアップを果たしました。

 5番手の坪井が前の車両にテール・トゥ・ノーズで迫るなど、序盤から各所でバトルが繰り広げられていましたが、4周目の130Rで16番手を争っていた笹原が大津弘樹(ホンダ)と接触し、2台はハイスピードのままアウト側のバリアに激しくクラッシュ。笹原の車両は中央でふたつにちぎれ、フェンスを乗り越えるほどの大クラッシュとなり、レースは赤旗中断。

 ドライバーは2人とも無事でしたが、コース上の防御フェンスの破損により、安全性を考慮し、レースは3周目を終えた時点で終了となりました。宮田は2位、坪井が5位、平川が7位、小林が8位。規定によりレースは成立するも、ポイントは半分という結果となりました。

第9戦予選

 29日(日)は朝から快晴。8時50分より、気温17度、路面温度23度のコンディションで今季最終戦となる第9戦の予選が行われました。なお、前日クラッシュを喫した笹原は大事をとり第9戦は欠場となります。

 Q1のA組では、セッション開始から全車走行を開始しますが、一旦ピットに戻り、残り5分頃からアタックに向かいました。クリアラップを取るために位置争いが激しさを増すなか、平川が4番手、国本が5番手でQ2へ進出。山下は最後に押し出される形となり、0.048秒差の7番手で惜しくも敗退。阪口も8番手でQ2進出はなりませんでした。

 B組では、小林のみが他よりもアタックに入るタイミングを遅らせ、残り4分ほどでコースイン。他よりもタイヤウォームアップの周回が1周少ないタイミングでアタックする作戦に出ました。

 まず宮田が1分37秒014の好タイムをマーク。坪井も1分37秒113でこれに続くタイムをマークしますが、ローソンがこの2台を上回り、宮田2番手、坪井3番手でQ2進出。関口も6番手でQ2へ進出しました。小林は1発アタック作戦も7番手に終わり、8番手の小高と共にQ1敗退となりました。

 Q2では、関口と宮田がセッション開始と同時にコースイン。他の車両は待機し、1分ほどしてコースへ。関口と宮田は1周で戻ってくると、タイヤを交換して他よりもやや遅れてアタックに入りました。

 チャンピオンを争う野尻智紀(ホンダ)、ローソン、宮田がセクターごとのタイムを塗り替え合いながらのアタック合戦を繰り広げるなか、スプーンコーナー立ち上がりでタイヤを滑らせタイムをロスしてしまった宮田は無念の4番手。坪井が5番手、国本が7番手、関口が8番手、平川が9番手グリッドから今季最後の決勝レースに臨むこととなりました。

第9戦決勝

 予選のポイントを加算した結果、チャンピオン争いは首位の宮田に対し2位の野尻は5.5ポイント、3位のローソンは12ポイント差となっており、優勝で20ポイント獲得できるこのレースは、三つ巴の最終決戦となりました。

 14時30分、秋晴れの空の下、気温20度、路面温度29度のコンディション。グランドスタンドを埋め尽くした大観衆の見守る前で、今季最終戦となる第9戦の決勝レース(31周)のスタートが切られました。

 スタートダッシュでは2番手グリッドの太田が首位に立ち、その後方でポールポジションのローソンと3番手の野尻が競り合う隙を突き、4番手スタートの宮田は2コーナーでアウトから野尻をパス。3位へとポジションを上げました。

 首位の太田が逃げる一方で、ランキングを争う3台は、ローソン2番手、宮田3番手、野尻4番手でそれぞれ1秒強の差を保ったまま周回。10周を終え、タイヤ交換義務のためのピットインが可能になると、宮田は12周終了時点でピットイン。すると、翌周にはローソンもピットへ向かいました。

 ローソンは宮田の前でコースへ復帰すると、宮田はまだタイヤが暖まっていないローソンを攻めましたが、逆転には至らず。

 一方、野尻はピットインを遅らせる作戦を採り、残り10周を切った23周終了時点でピットへ。野尻はアウトラップで1台にかわされ、5番手へと後退。

 その後、野尻は4番手のポジションを取り返しますが、前を行く宮田は10秒以上の大差をつけて3番手を走行。このまま3番手でフィニッシュすれば、前を行くローソンが優勝してもチャンピオンを獲得できるため、宮田は着実にポジションキープの作戦に。

 プレッシャーのなかでの走行を強いられるも、最後まで集中力を切らすことなく走り切った宮田は3番手でチェッカー。見事2023年シーズンのスーパーフォーミュラでドライバーズチャンピオンを獲得しました。

 スーパーフォーミュラでTGR勢がチャンピオンを獲得するのは2019年のニック・キャシディ以来。宮田は第3戦鈴鹿でスーパーフォーミュラでの初優勝を飾ると、第5戦SUGOで2勝目。この2勝を含む表彰台6回、9戦全てでトップ5以上のフィニッシュという安定した成績を重ね、悲願のシリーズチャンピオンを勝ち取りました。

 坪井は5番手からスタートでひとつ順位を落とすも、後半そのポジションを奪還し5位でフィニッシュ。9番手スタートから決勝での勝負強さを見せた平川は最終ラップにもオーバーテイクを見せ6位。国本が8位、山下が9位でポイント獲得を果たしました。

2023スーパーフォーミュラ第8戦&第9戦鈴鹿 宮田莉朋(VANTELIN TEAM TOM’S)
2023スーパーフォーミュラ第8戦&第9戦鈴鹿 宮田莉朋(VANTELIN TEAM TOM’S)

■VANTELIN TEAM TOM’S 37号車ドライバー宮田莉朋

「今日のレースは4番手グリッドで、スタートで順位を上げないとチャンピオン争いが厳しいというのはわかっていましたが、スタートを決められたことがあまりないので、チームとコミュニケーションを入念にとって臨みました。その甲斐あってか、スタートで順位を落とさず、位置取りも上手くいってオーバーテイクできました。あれがチャンピオンへ向けての大きな一歩だったなと思います」

「今回は特にホンダ勢が本当に強かったですし、プレッシャーもあって緊張しましたが、諦めずにベストを尽くしました。チャンピオンが取れたのはTGR、チームトムス、スポンサーをはじめ応援してくださるファンの皆様のおかげで、本当に感謝しています。チャンピオン獲得は決して楽ではなかったですし、正直今年取れるとは思っていませんでした。ただ、今年第3戦の鈴鹿で初優勝できて、そこからクルマにも、僕自身もドライビングやメンタリティ的な部分でも自信がつきました」

「あとは今年からTGR WECのプログラムに参加して海外に行くことが増えて、世界という目標が明確になり、それが原動力として結果にも繋がったと思います。チャンピオンが取れたというのは本当に嬉しいですし、ほっとしています。トヨタエンジンユーザとして久しぶりのチャンピオン獲得という意味でも、すごく誇りに思っています」

■TOYOTA GAZOO Racingを代表してモリゾウ(豊田章男)より

「莉朋、チャンピオンおめでとう!トヨタで育った若者が“日本で1番速いドライバー”になってくれたこと嬉しく思います」

「世界も視野に入れ色々なチャレンジをしているなかで、大きな自信に繋がるレースが今年は沢山できたのではないかと思います。もっともっと成長し“1番速いドライバー”を目指していってください。

「初戦を制したローソン選手はシーズン中にF1にステップアップしました。平川選手もF1への道を歩き出すことになりました。このレースが世界を目指す若者たちの架け橋になっていっていることを実感します」

「日本発のスーパーフォーミュラが世界に通ずるレースになっていけるよう、ディフェンディングチャンピオン宮田莉朋選手をはじめ、ドライバー全員が、来年も魅力あるレースをしてくれることを、ファンの1人として願っています」

2023スーパーフォーミュラ第8戦&第9戦鈴鹿 宮田莉朋(VANTELIN TEAM TOM’S)
2023スーパーフォーミュラ第8戦&第9戦鈴鹿 宮田莉朋(VANTELIN TEAM TOM’S)


関連のニュース

スーパーフォーミュラ 関連ドライバー

スーパーフォーミュラ 関連チーム