ハロに関しても、3選手の現段階での評価は基本的にポジティブだ。ただ、単純に装着すればいいというものではなく、各サーキットのドライバー救出体制確保など、課題をクリアしたうえで装着する方向に進んでほしい、との内容が語られている。
国本はまず、ハロ装着状態での乗り降りに関して「ジャングルジムみたいですね」と笑顔で話し、ドライビング時の感触については「最初こそ若干の違和感はありましたが、数周で慣れました。コーナーではまったく気にならないです。ストレートでは真ん中の(縦の)棒が視界に入りますけど、それも慣れました。安全性が増すのであれば、やはり導入してほしいですね。スタートシグナルも富士のグリッドでは完全に見えないようなところはなかったです。もちろん、今後は各コースでの確認が必要だと思います」。
178cmと長身の石浦は、ハロ装着による規則面でステアリング位置の前後方向の自由度が狭まることからくる「ドライビングポジションへの影響を心配していましたが、走り始めたら最終的にはまったく気にならないレベルで走れました。ただ、僕は比較的ステアリングを近めにして乗るタイプなので、そういうことを考えると僕くらいの体格がギリギリなのかな、とは思いますけど」と話す。また、やはり不安で前夜から緊張していたという脱出テストに関しては「無事に終わって大満足です。(長身の)僕が大丈夫なら、(ほかのドライバーも)まず大丈夫だろうと思います」とコメントした。
そして石浦は、「つければいいというものではないので、これからもテストして慎重に議論してほしいです」と続ける。初日の時点でハロ装着には相当に前向きだった山本も、「いいことばかりではないという部分はもちろん感じています」という。
国本を含めた3人がもっとも懸念するのは、たとえば横転して裏返しになって火災が生じたような場合の脱出だ。最近は発生事例が稀な火災はさておくとしても、裏返しの状態からの脱出に際して、すべての開催サーキットで万全な体制を整えられるのか、という不安を強調していた。
また、ハロ装着によるドライバーへの直接の弊害はほとんどないものの、メカニックの作業への影響を3人は心配しており、「脱着がもっと簡易にできるようになればいい」との意見も聞かれている。
まだまだ課題は多くあり、JRPも現段階では来季のハロ装着について「検討中」との姿勢を崩していない。今後のテストでの検証や議論が重ねられていくことになるだろう。ドライバーがピットで眼前に置く小型モニターも、ハロ採用となれば新調や改良の必要がありそうだ。
