予選順位とスタートで勝負の80パーセントは決まると言われる現在のスーパーフォーミュラでは、可夢偉の現在の状況では上位に来ることは難しい。期待された2年目のシーズン、ファンもチームも辛いが、当然、可夢偉自身も頭を悩ましている。
「クルマを全然、思い通りに動かせないんです。なんか、初心者みたいな運転になっていますもん。恥ずかしい感じ。攻めきれないし、そんなに攻めていなくても突然グリップがなくなってしまう」
「WECでは(中嶋)一貴が乗るたびにトラブルが起きている印象があるのと同じように、スーパーフォーミュラでは自分に何かが起きるような気持ちになってしまう。今年の僕はスーパーフォーミュラで開幕できへん気がしてきました。もう、何してもあかんですもん」。明るい兆しが見えず、悩める可夢偉。

そんな可夢偉に追い打ちをかけるように、岡山のレース2決勝では無線トラブルも起きてしまった。可夢偉はスタート直後から、すぐにピットインすることを無線で伝えていたが、それがピットに伝わらず、結局、17周目までタイミングが遅れてしまった。
奇しくも、この岡山のレース1では今年のルーキー、ストフェル・バンドーン(DOCOMO TEAM DANDELION)がスーパーフォーミュラ初優勝を飾り、前回のもてぎでは同じく新人の関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)が初優勝を果たしている。さらには、チームメイトのナレイン・カーティケヤンもレース1で表彰台を獲得している。
F1帰りで鳴り物入りで昨年、国内復帰した可夢偉。2年目の今季は解決の糸口すら見えない逆境の中でもがいてる状況だが、可夢偉らしい、コース上でのアグレッシブな走りとオーバーテイクをもう一度、臨まずにはいられない。
来季マクラーレン・ホンダからのF1参戦が決まっているバンドーンと、このスーパーフォーミュラを舞台にバトルができるのは今年が最後。関口、国本と新たなウイナーが誕生しているが、今こそ『ニッポンに可夢偉あり』の存在感を、ファンは待ち望んでいる。
