一方、接触してしまった山本尚貴は5グリッド降格を受ける最後尾スタート。タイトルを争っている立場としては厳しい状況に追い込まれた。チーム側としては、ガレージからのゴーサインをメカニックが出した後、メカニックがすぐに可夢偉に気づいて手でストップの合図を出したが、ガレージを出た山本の目には入らなかった。山本も、その時の状況を振り返る。
「最終的には確認をしないで僕がファストレーンに出たので、僕に責任があります。エンジンを掛けて無線で指示を出してもらって、メカニックがゴーサインを出して、そこまではいつもどおりの流れで焦っていたわけではないですけど、最後にメカニックがクルマを止めようとはしてくれましたが、その時にはメカニックは僕の視界から消えたところにいたので、見えなくて進んでしまいました」と、山本は一方的に自分の非を認める。
接触後は、「残り3分でアタックができたとしてもタイヤを温める時間が少なく、上位に進出することがかなり難しい状況ですし、僕はピットロードで可夢偉選手だけでなく、その後ろでコースインを控えていたドライバーにも迷惑を掛けてしまった。その状況でまた僕だけみんなと違うタイミングでコース上でアタックすることは、また他のドライバーに迷惑を掛けてしまうことになる」との判断で、山本は最後のアタックに入らず、最終コーナーを立ち上がった後、ピットロードにマシンを戻した。
山本らしい責任感ではあるが、前回の岡山でも予選のピットロードで接触が起きており、視界の限られているドライバー側だけで防止できる問題ではないことは明らか。今後、再発防止に向けてどのような取り組みができるのか、接触後のペナルティの内容を含め、現在のシビアなスーパーフォーミュラの予選に、チーム、サーキット、JRP、それぞれの立場で新しいガイドラインが求められている。
