さらに一歩進んだ見どころとしては、予選でのスプーンの走りに注目したい。開幕戦ではドライバー側もヨコハマタイヤの特性をつかみきれず、スプーンひとつ目でスピン、ハーフスピン、オーバーランするシーンが多々見られた。実際、予選Q1でもスプーンでスピンがあり、黄旗が振られ、その瞬間にアタックしていた昨年チャンピオンの石浦がタイム抹消となってQ1落ちという波乱の幕開けとなった。中高速コーナーが多い鈴鹿で、ドライバーの限界域でのマシンコントロールを見るのも、通な見どころだ。

また、これは最終戦に限ったことではないが、予選とスタートが勝利の80パーセント以上を占めると言われる現在のスーパーフォーミュラで、予選が大きなターニングポイントとなるのは間違いない。ひとつでも予選で上位に行きたいドライバーが予選で路面にラバーが多く乗るセッションギリギリ最後にアタックするシーンで、いかに他車のトラブルに巻き込まれず、クリアラップを確保し、そしてタイヤのウォームアップを適切に行えるか。予選のトラフィックの処理は、もはや今年のスーパーフォーミュラの予選の風物詩となっている。
あいにく、最終戦鈴鹿の金曜日のセッションはウエットコンディションとなってしまった。土日のセッションはドライ予想なので、金曜セッションのデータはほとんど週末に影響がなくない。しかも、土曜朝のフリー走行は路面にウエットパッチが残ってしまいそうな状況で、このままでは土曜日の予選が初めての完全ドライの走行になり、その状況で一発勝負のような展開になりそうな気配だ。つまり全車、ほぼ、持ち込みセットアップ状態での予選勝負となりそうで、その場合、チームとドライバーの事前の準備が問われることになる。

金曜日の時点ではエンジニア、ドライバーともに、「これまでのデータをひとつひとつ見直した」という声が多かっただけに、果たして、各チームの事前の準備が吉と出るか、凶と出るか。これまでの実績を重視したセットアップなのか、それともこの最終戦に賭けた新しいチャレンジなのか。実走で確認がしづらい状況だけに、ドライバーとエンジニアの想像力が重要になる。
