■SC連続の波乱。ロッテラー鬼神の追い上げも届かず
ところが、国本がピットインを予定していた24周目に、「インに巻いてしまった」という伊沢拓也(REAL RACING)がスプーンカーブでクラッシュ。これによりセーフティカーが入ることになった。国本はそのままピットインし、作業を済ませてコースに復帰したが、7番手に後退することになってしまった。
上位はバンドーン、石浦、ロッテラーと変わらず、27周目にリスタートが切られる。バンドーンはここでもスタートダッシュを決めて石浦との差を広げ、逆に石浦はロッテラーに迫られてしまうが、オーバーテイクシステムの応酬で何とかポジションを死守。その後方では、5番手に浮上していたベルトラン・バゲット(NAKAJIMA RACING)が4番手オリベイラに1コーナーで襲いかかるも、止まり切れずにコースオフしてしまい、国本のすぐ目の前まで後退。バゲット、国本、そして8番手につけたジェームス・ロシター(KONDO RACING)と中団グループは接近戦を展開した。
しかし波乱はまだ終わらない。レースも終盤に入り随所でバトルがみられるなか、28周目の最終コーナーで大きなタイヤスモークをあげながら山本尚貴(TEAM無限)がスピン。タイヤバリアにヒットし、マシンを止めてしまう。これにより、このレース二度目のセーフティカーが入る。
残り4周でのリスタートでは、逆転タイトルへの最後のチャンスとばかりに、ロッテラーが石浦を猛追。1コーナーで逆転に成功し、さらに鬼気迫る走りで、首位のバンドーンにも迫っていった。両者の差は33周目には1.2秒、34周目には0.9秒とみるみる縮まっていく。
ファイナルラップのバックストレートではテール・トゥ・ノーズにまで迫るが、バンドーンはここで温存していたオーバーテイクシステムを使い、逃げ切りに成功。来季からマクラーレン・ホンダのドライバーとしてF1に参戦するバンドーンが、王座経験者のロッテラーを振り切り、スーパーフォーミュラ最後のレースを優勝で飾った。
激しいトップ争いの背後では、国本の前でバトルをしていた塚越広大(REAL RACING)が31周目にコースオフ。これにロシターが巻き込まれる形で接触したため、国本は6番手にポジションを上げることに成功。そのままチェッカーを受けてシリーズポイントを加算し、自身初のシリーズチャンピオンを確定させてみせた。