更新日: 2024.09.21 23:51
Team LeMans 2024スーパーGT第6戦SUGO 予選レポート
2024 SUPER GT Round6, SUGO GT 300KM RACE
悪天候によるクラッシュ! 必死の修復作業でマシンを予選に間に合わせたが、残念ながらさらなる天候悪化で予選はキャンセルに
9月21日(公式練習/予選)
台風10号の影響で8月末に予定されていた第5戦鈴鹿大会が12月へと延期になり、約2カ月ぶりの開催となったスーパーGT第6戦は、雨の滴るスポーツランドSUGOで開幕しました。公式練習が始まる午前9時15分の段階で気温17℃、路面温度20℃、湿度94%というコンディション。冷たい雨が降り注ぐウェットコンディションのなかで公式練習のスタートが切られました。
第5戦鈴鹿大会を前に公式予選のルールが変更となり、従来の合算制に変わりはないものの、GT300クラス予選Q1でのグループ分けが廃止され、20分間に延長された予選Q1を全車一斉にタイムアタックすることとなりました。
その予選Q1の結果によって上位14台がUpper14、15位以下はLower15に分かれて予選Q2を走ることとなり、Upper14を走行したグループのなかから予選Q1、Q2合算タイムによって上位14位までのグリッドが決定し、同様にLower15を走行したグループのなかから15位以下のグリッドが決まります。Lower15グループで予選Q2を走行した車両は合算タイムでトップだとしても、最高でも15位グリッドからのスタートとなるわけです。
ただし雨の予選となった場合のグリッド順位は合算ではなく、昨年までと同様に予選Q2での順位がスターティンググリッドに採用されることとなります。
さらにタイヤの使用制限に関するルールも変更されました。300kmレースで使用できるタイヤは公式練習からレース終了までで4セットと変わりはないものの、従来の予選Q1、Q2、そして決勝スタートまで同じ1セットのタイヤを使用というルールが撤廃され、予選Q2に新品タイヤを投入することが許されました。これによって各チームのタイヤ戦略の幅も広がり、より面白いレースになることが期待されます。
不安定な天候を配慮し、公式予選が雨で万が一キャンセルされた場合、公式練習でのタイム順位が決勝でのスターティンググリッドとなることが、事前に各チームに伝えられました。これによって公式練習は、より白熱したものとなりました。
6号車UNI-ROBO BLUEGRASS FERRARIは、ロベルト・メリ・ムンタン選手がステアリングを握りコースイン。しかし公式練習開始直後、9時21分にGT300マシンがクラッシュして赤旗中断。タイヤバリア修復に時間を取られたものの9時37分に再開。しかし雨が強まったために再び9時44分に赤旗が出され、9時53分にセッション再開。ここから各チームとも激しいタイムアタックに突入しましたが、10時10分にGT300クラスで2台のマシンが別々の場所でコースアウトやクラッシュしたため3度目の赤旗が出されました。
10時16分にセッション再開。ロベルト・メリ・ムンタン選手はタイヤを温めながら路面コンディションの好転を待ちます。しかしその期待とは裏腹に、残り時間が30分ほどになった頃には雨脚が強くなり、10時32分、安全を考慮し4度目の赤旗が出されることとなりました。
GT300クラスの専有走行が10時45分から10分間と発表され、公式練習が再開されたものの開始直後にクラッシュ車両が出て5度目の赤旗となりました。それに対し主催者判断で、再び10時55分から10分間の専有走行が行われました。
その時点で6号車UNI-ROBO BLUEGRASS FERRARIは1分37秒479で24番手。ロベルト・メリ・ムンタン選手がステアリングを握り最後のアタックへとコースイン。しかし馬の背コーナー手前のバックストレッチでハイドロプレーニング状態となり、コントロールを失ってリヤからタイヤバリアにクラッシュ。事故のインパクトが大きかったためにドライバーは念のため救急車で運ばれることとなりました。
GT300クラスの専有走行はこの赤旗をもって終了となり、6号車UNI-ROBO BLUEGRASS FERRARIは24番手で公式練習を終えることとなりました。またこの赤旗をもってGT500クラスの専有走行、FCYチェックも危険回避のためにキャンセルとなり、午前中の走行はすべて終了となりました。
かなり高速からのクラッシュだったため、ダメージは左後方からフロント部分にまで及んでおり、見た目よりも損傷は酷い状態でした。しかし午後の予選までにマシンを間に合わせるために、限られた時間の中でチームは必死の修復作業を続けました。
14時55分、予選開始直前に見事にマシンの修復作業が終わり、片山義章選手が予選Q1に参加すべくスタンバイしたのですが、悪天候のため予選開始が10分間送らされることがアナウンスされました。その後、2度ほどディレイのアナウンスの後、公式予選はキャンセルされることが発表され、公式練習のタイムによって明日の決勝グリッドが決定することとなりました。
ロベルト・メリ・ムンタン選手のコメント
「今日は走り出しからマシンのバランスが悪く、持ち込んだウエットタイヤもこの気温や路面状況には合っていませんでした。なかなかマシンのバランスが見いだせず、満足なアタックができないままハイドロプレーニングを起こしてしまい、コントロール不能の状態でクラッシュしてしまいました。チームの皆さんが予選までに修理をしてくれたのに、予選が中止になってしまって本当に残念です。F1ならば明日の朝に予選ということも配慮されるのですが、グリッド24番手が確定と聞いてがっかりです」
片山義章選手のコメント
「朝の公式練習ではマシンのバランスが悪く、タイヤも路面コンディションにあっていなかったようです。クラッシュが激しかっただけにロベルト選手の身体が心配でしたが、本当に無事で何よりでした。予選では別のコンパウンドのレインタイヤを試したかったのですが、結局中止となってしまい、24番手スタートとなりました。クラッシュしたマシンの修復後のチェックもできない状況で明日を迎えることになり、正直なところ、一抹の不安が残ります。でも明日も雨模様でしょうし、レースは何があるかわかりません。気持ちを切り替え、絶対に諦めずに1台でも多くのマシンを抜き続け、後方から追い上げるレースをしたいと思います」
小倉啓悟監督のコメント
「今日は自分たちのパフォーマンスを発揮することなく終わってしまいました。持ち込みのベースセットが今日のコンディションと合っていなかったこと、タイヤを含むセットアップが決まらなくて、満足にアタックすることもできないままクラッシュしてしまいました。幸いドライバーに怪我はなく、メカニックたちも必死で予選までに修理を間に合わせてくれましたので、よし、いくぞ! という気持ちで予選を迎えたにもかかわらず、結局中止となってしまいました」
「決勝前に走行チェックをしたかったのですが仕方ありません。明日の決勝に向けてデータをチェックし、もう一度マシンを細部までチェックして万全の体制で決勝レースを戦えるように、準備を進めたいと思います。厳しいグリッド順位になってしまいましたが、これもレース。最善の努力を尽くして全力で戦うことが我々の使命だと思っています」