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スーパーGT ニュース

投稿日: 2016.04.27 23:30

VivaC team TSUCHIYA スーパーGT第1戦岡山 レースレポート

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スーパーGT | VivaC team TSUCHIYA スーパーGT第1戦岡山 レースレポート

テストでトラブルからクラッシュ!
しかし、怪我の功名で大きなヒントを掴む

 という感じで、相変わらずのチームで始まったわけですが、今シーズン最初の岡山合同テストで事件が起きました。左フロントサスペンションのトラブルが、200km以上のスピードが出ている際に起きて、スポンジバリアに突っ込んでしまいました。流石に軽傷では済まず、修復に時間を要しました。もちろん修理代も……(泣)

 初めてチームオーナーとして自分のマシンでドライブしている時にクラッシュをしてしまいましたが、スポンジバリアが近づいてきたときは「いったい、修理代はいくらかかるんだろう……?」ということが頭の中を駆け巡り、身体の心配なんて1mmもしていませんでした。新たな発見です……。

 冗談はさておき、シーズン開幕前に2回しかない大事なテスト走行の最初のテストでクラッシュ。次の富士合同テストまでには5日間しかありません。そこからはメカニック、スタッフ、タカミツも一緒にマシン修復に全力で注ぎこみました。徹夜の連続でしたが、富士テストの最終日の朝方にマシンが完成して、その日の走行に間に合わせることができました。そして午後のセッションでは3番手のタイムをマーク!トラブルもなくポテンシャルも確認できました。大変だったと思いますが、レース屋としての仕事を、入りたての新人メカニックがいきなり“ど真ん中”で経験することができたことは、何よりの財産になると思うので良かったんじゃないかなと思います。さすがに71歳のおじいちゃん……もとい、職人メカニックの土屋春雄はしんどそうでしたが(笑)

 この富士テストでは、セットアップに関して新たな発見がありました。ひょんなことから見つけられたのですが、エンジニアリング的に非常に興味を掻き立てられる内容で、そこから私の頭の中はフル回転。1秒でも早く岡山でそれを実践し走らせてみたくて仕方ありませんでした。富士を走ったことで得たヒントが、開幕戦のレースウィークに大きな影響を与えてくれました。

 いよいよ開幕戦です。いつも通りフリー走行、予選Q1&Q2という1日のスケジュール。まずは走り出してバランスチェック。全く新たな試みで持ち込んだセットアップは、まぁまぁ思った通りの感触。そこから予定していたセットチェンジを施し、タイヤコンパウンドの評価をしてその時のタイムでセッション3番手を記録。なかなかライバル勢も速く、優勝するためには決勝のペースがカギになると読んだので、その後のほとんどの時間は、決勝セットに費やしました。

 そしてQ1はタカミツが担当。NEWタイヤでのセットアップは手探りだったので、“こんなもんかな”という感覚的なものでQ1に挑みました。ここでちょっと昨年からの変更をお知らせします。とうとうストロークセンサーを装着しました!データロガーデビューです(笑)でもフリー走行のデータが取れてなかったので、今回は使えませんでしたが次戦以降、活用していく予定です。

 ――――話を予選に戻します。マシンのバランスはオーバーステアが強く、さらにクリアラップも取れなかったのでQ1突破ギリギリの13番手で通過。台数の多いQ1は運も非常に重要になってきます。タカミツも「このままじゃタイムがでません」といったコメントと、マシンのバランスを細かに教えてくれたのでQ2にはしっかりとセット変更して挑みました。

 そして迎えたQ2。最初のアタックではブレーキングで不安定さがあったものの、かなりいいタイムが出て2番手に。トップとはコンマ1秒差と聞いて、1周のクールダウンを挿んだ後、今度はブレーキングに気を付けて再度アタックをかけると、自己ベストをコンマ2秒縮め逆転に成功!強豪ぞろいの中の開幕戦でポールポジションを獲得することができました!

 岡山のクラッシュからみんなで一致団結し修復して、富士のテストにクルマを持ち込み、セットアップのヒントを得ることが出来ました。そしてQ1でのタカミツのコメントからマシンを仕立て上げ、再度アタックして獲得したポールです。格別なものがありました。ただ、私の場合は本音を言うと、ドライバーとしての喜びよりも、エンジニアとしての快感が大きかったです。それだけ今回発見したセットアップのヒントは、長くやってきた経験の中でも興味深いものでした。結果を出すことが出来、また更に先の領域へ向かっていくための一つの根拠にもなったことで、もっともっと試したいことが増えてきました。

 こういったことがあるから面白いし、やめられないんですね!

 とはいえ、決勝レースは全くの別物。特に今回は新型車のFIAGT3勢のポテンシャルが未知数でしたので、全然安心できません。決勝前のフリー走行では決勝用のセットアップを試し、レース戦略もいくつかのオプションを用意して、できることはすべて準備できた状態でスタートをむかえました。


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