9月30日に発表されたホンダ/HRCの2026年スーパーGT500クラスのニューマシン、プレリュードGTのプロトタイプ。まだまだ発表されたばかりでそのパフォーマンスは未知数ではあるが、シェイクダウン後のドライバー、そして開発陣の表情からも明るい手応えを感じていることが伺えた。そのプレリュードGTプロトタイプの開発ポイント、そしてシェイクダウンの時点で試されていた新アイテムについて探った。
あいにくの雨の中でシェイクダウンしたプレリュードGTプロトタイプ。シェイクダウン初日のマシンは、前日の発表会からいくつか装備アイテムを変えて登場してきたことが確認できた。
すぐに目についたのが、ボンネット上部のダクト周辺だ。前日の発表会では半分程度に閉じられていたダクトサイズが開けられ、ダクト内にも複雑な空力形状が見受けられる。今年の春のテストでトヨタGRスープラ陣営がダクトまわりに新しいパーツを試していたことからも、現在のGT500の空力開発ポイントがこれまでのフリックボックス、ラテラルダクトに加え、ボンネットダクトに及んでいることが伺える。


ボンネットダクトの形状は、その内部のエンジンルームの構造物の配置やサイズと連動し、GRスープラは昨年、エンジンルーム内の構造物を徹底的に低重心化させ、現在の圧倒的な強さにつなげた。
ホンダ陣営も昨年、シビック・タイプR-GTでは左右に振り分けられた2基のラジエターを左側の1基にまとめ、正面上部にあったインタークーラーを右側に配置し、低重心化と軽量化を実現している。
シビック・タイプR-GTで取り組んだこのアドバンテージはプレリュードGTのプロトタイプでも当然継承され、さらにパフォーマンスアップの施策が投入されいると考えるのが自然だろう。その試行錯誤の確認のアウトプットとして、冷却と空力を兼ねるボンネットダクトのチェックをシェイクダウンの早いタイミングで確認したということと想像される。
さらに、シェイクダウン初日のその後の走行の際には、このボンネットダクトの前方に小さなガーニーフラップが備え付けられているのが写真で確認された。


ガーニーは空気の渦(うず)を作ることでガーニー上面の空気の流れを遅らせ、下面の空気を流速を早めることでダウンフォースを高める効果をもつ。そのガーニーがボンネットダクト前方に装着されていることから考えると、ボンネット内からダクトを通るエアフローの流速を高めるのが狙いとなる。
フロントグリルからエンジンルームを通り、ボンネットダクトから排出されるエアフローはルーフ上面を伝わり、リヤウイングへと流れていく。シェイクダウンの最初の時点でこの部分の確認に取り組んでいることからも、プレリュードGTコンセプトがマシン全体としてのダウンフォース量、空力効率向上の実現に注力して取り組んでいることは間違いなさそうだ。
今回のシェイクダウンテストでは、フリックボックスとラテラルダクトの2箇所は現行のシビック・タイプR-GTと同じ形状のものが装着されていた。現行車両との比較という意味で敢えてこの2箇所は同じにして走行が行われていたと考えられるが、今後は間違いなく、この2箇所にもさまざまな新パーツが試されていくことになる。



