■「またリベンジしたい」。緑のサイリウムには“ジワっと”
この日の戦いを、河野エンジニアは「トップの4台は、次元が違いすぎて全然無理だった。やっぱり、初めてこのクルマでピレリを使っている部分も含めて、まだ使いこなせていないのかなと思う」と振り返った。多くの日本チームにとって、やはりワンメイクタイヤへの習熟は重要と言える。
ただ、この5位という結果を「悔しいけど、100点満点」と河野エンジニアは評した。「ウチらも“ワークス”だから言い訳はできないけど、HWAの協力のもと、最終的に形にはできたと思うし、いい勉強をさせてもらったと思う。ドライバーもノーミスで、完璧にやってくれたから」
逆に、パーフェクトなレース運びながら、前に4台いるのも事実だ。チームの安藝貴範代表に「昨年のリベンジは果たせましたか?」と聞くと、「リベンジは……果たせていませんね(苦笑)」と語った。
「でもミスもなくやれることをやれたし、十分な結果だったのではないでしょうか。最後はTK(片岡)も盛り上げてくれたし、ファンの皆さんも喜んでくれたと思います」と安藝代表。
「またリベンジしたいですね。去年の時点では見えない差だったのが、どうすればいいのか、どれくらいの差があるのかも分かりましたから」
安藝代表には、最終スティントで“ミク色”に染まったグランドスタンドについても聞くと、こんな返事がきた。
「最後はピエール北川さんがいい仕事しましたね(笑)。ちょうどいま大阪で『マジカルミライ』というイベントをやっていて、そのときも緑のサイリウム一色になるんですよね。その前ですごい戦いをしてくれた。ちょっとジワっときましたよね」
この夜のグランドスタンドの光景は、たしかに08年の鈴鹿を見て、まわりのレファンからの“痛車”への視線を感じていたチームの広報氏も、筆者も“ジワっと”くるものではあった。次なる世界への挑戦では、どんな光景をファンとともにみせてくれるのだろうか。